9月22日、Omar Sohailが「Apple's M6 Puts The M4 To Shame In AI Workloads In Just One Generation; 253% Faster In Prompt Processing, With 61.7% Image Generation Reduction Time While Consuming Less Power」と題した記事を公開した。AppleのM6チップがAIワークロードにおいてM4比で最大253%の性能向上を達成したベンチマーク結果について詳しく紹介している。
M6 vs M4:AIベンチマークで際立つ世代差
AppleはM5をMac miniに搭載しなかった。そのため、Mac miniの世代交代はM4からM6への一気飛びとなった。外観は同一シャーシを維持しているが、内部の性能差は数字が端的に示している。
YouTuberのAlex Ziskindが実施した一連のテストのうち、注目すべきはローカルAIモデルを動かすAIワークロードの結果だ。
プロンプト処理で253%増の差
ベースラインとして使われたモデルはQwen3.5-9B 4ビット量子化。Qwen3.5はAlibaba Cloudが開発・公開しているオープンソースの大規模言語モデルシリーズで、「9B」はパラメータ数90億規模を指す。「4ビット量子化」とは、モデルの重みを4ビット精度に圧縮してメモリ使用量と推論コストを削減する手法であり、ローカル実行との相性が良い。
| 指標 | M6 | M4 | 差 |
|---|---|---|---|
| プロンプト処理速度 | 742 tok/s | 210 tok/s | +253.3% |
| トークン生成速度 | 26.9 tok/s | 18 tok/s | +49.4% |
「+253.3%」はM4を基準とした増加率であり、M6がM4の約3.5倍の速度でプロンプトを処理することを意味する。プロンプト処理(ユーザーの入力テキストを読み込む処理)における差は特に大きい。llm-benchyを使ったテストでは、最初のトークンが出力されるまでの時間(TTFT: Time To First Token)もM6が0.72秒なのに対し、M4は2.5秒を要した。体感的なレスポンスに直結する指標だけに、この差は実用上も無視できない。
画像生成でも61.7%短縮
画像生成モデルFLUX.1を用いたテストでは、M6が36秒でレンダリングを完了した。M4は同じタスクに1分30秒以上を要し、処理時間は61.7%削減されたことになる。
なぜここまで差がついたのか
今回の性能向上の背景には、元記事が指摘するM6のアーキテクチャ上の変更が2点ある。
- ユニファイドメモリ帯域幅の増加:CPUとGPUが共有するメモリへのアクセス速度が向上し、大規模モデルのデータ転送がボトルネックになりにくくなった。
- Neural Acceleratorの強化:AI推論処理を専用ハードウェアで並列処理できるため、特にプロンプト処理のような計算集約型タスクで差が出やすい。
また、元記事ではM6の製造プロセスの微細化による電力効率の改善も性能向上の要因として挙げられており、それが消費電力の数値にも現れている。
高性能化しながら消費電力は削減
性能が上がっているにもかかわらず、消費電力は逆に下がっている。実測の消費電力はM6 Mac miniが38W、M4 Mac miniが44W。高負荷時に発熱・消費電力が増加する一般的な傾向とは逆の結果だ。
価格差という現実
こうした性能・効率の向上は、アップグレードコストという現実とセットで語られる必要がある。記事執筆時点で、M6 Mac mini(16GBユニファイドRAM・256GBストレージ)のAmazon価格は**$879.99。M4の旧モデルは$599から始まっていたため、差額は約$280**となる。
プロンプト処理速度の大幅な向上はローカルLLMを日常的に運用するユーザーにとって十分な動機になり得るが、ライトユーザーにとっては慎重な検討が必要な価格差だ。