9月20日、Mixed Newsが「Google Home now lets Claude and other AI agents control your smart home, in early access」と題した記事を公開した。スマートホームの操作がGoogleの純正アプリに閉じていた時代は終わりつつある。Google HomeがMCP経由で外部AIエージェントへの制御を開放したことで、音声コマンドや定型ルールを超えた、より高度なホーム自動化が現実になりつつある。
Google HomeがMCPでAIエージェントに開放——何が変わるのか
9月16日、Googleは「Home MCP」を発表した。これはAIエージェントがGoogle Home内のデバイスや過去のイベント履歴を読み取り・操作できるようにする仕組みで、MCP(Model Context Protocol)に対応したエージェントであれば、ClaudeやGemini系サービス以外のものも接続できる。Googleの発表文では「Google Antigravity、Claude、Hermes、OpenClaw、その他」と例示されている。
※「Google Antigravity」および「Hermes」は一般的に広く知られたサービス名ではなく、元記事の表記をそのまま引用している。正式名称・サービスの詳細は元記事およびGoogle公式の開発者ドキュメントでご確認いただきたい。
MCP(Model Context Protocol)はAnthropicが提唱したAIエージェント向けのツール呼び出しプロトコルで、エージェントが外部サービスのAPIを統一的な方法で操作するための規格だ。Google HomeがこのMCPサーバーを公開したことで、対応エージェントからNestデバイスやMatter対応機器を直接操作できるようになる。
ただし現時点ではアーリーアクセス段階で、対象は米国内のGoogle Home Premium Advancedサブスクライバーに限定される。このプランは月額20ドル(年払いなら200ドル)と、Google Homeの中で最も高価なプランだ。
エージェントが使える5つのツール
開発者ドキュメントによると、Home MCPサーバーが公開するツールは以下の5種類だ。
- ホームの取得:ユーザーが持つホームを検索する
- デバイス・部屋の一覧取得:接続されたデバイスと部屋を列挙する
- ライブ状態の読み取り:デバイスのリアルタイム状態を取得する
- アクションの実行:デバイスを操作する
- イベント履歴の検索:過去の出来事を検索する
Googleのアーリーテスターが試した用途として、「子どもが放課後に何をしていたか全カメラを横断して要約し、クリップを表示する」「1週間に何回洗濯機を回したか集計する」「タスク完了時にGoogle Homeスピーカーで音声メッセージを流す」「カスタムダッシュボードを構築する」などが挙げられている。
カメラの顔認識データを扱う場合は別途ユーザーの同意が必要で、ホームのマネージャー権限・対応Nestカメラ・「おなじみの顔」機能の有効化という条件が揃う必要がある。
「ドアの解錠は禁止」——Googleが珍しく率直にリスクを警告
Googleは発表文と開発者ドキュメントの双方で、踏み込んだリスク警告を掲載している。
「実際の家をAIエージェントに接続することで、そのエージェントがあなたの代わりにデバイスを制御できるようになります」——Google発表文より
Home MCPはレート制限と安全保護を実施しており、「ドアの解錠」などの敏感な操作は禁止している。一方でGoogleは「エージェントによっては、予期しない、あるいは望ましくない動作が生じる可能性がある」とも明記しており、家の他の住人へ事前に周知すること、または別途テスト用のホームを作成することを推奨している。エージェントのアクセスはGoogle Homeアプリからいつでも取り消せる。
なお、オートメーション(自動化ルール)の作成・管理はまだ非対応で、「近日対応予定」と記載されている。一部のデバイストレイト(機能属性)は実験的段階であり、レスポンスが想定より遅い場合もあるとされている。
セットアップはエンジニア向け
Google Homeアプリにトグルが追加されたわけではない。設定には以下のステップが必要だ。
- Google Cloudプロジェクトの作成
- アクセス承認の申請
- Home APIの有効化
- OAuthコンセントスクリーンとクライアントIDの設定
- アプリの公開
- 取得した認証情報をエージェントに設定
Claudeで接続する場合は、Claude.ai上の作業スペース機能(一般には「Projects」などとも呼ばれる。元記事では「Claude Cowork」と表記)にGoogle HomeのMCPサーバーを向けたカスタムコネクタを設定し、ブラウザでサインインするという手順が案内されている。
※ 元記事中の「Claude Cowork」という名称はClaude.aiのワークスペース・コネクタ設定画面を指していると思われるが、Anthropicの公式ドキュメントにおける正式名称とは異なる可能性がある。不明点は公式サイトでご確認いただきたい。
Google公式にステップバイステップのドキュメントが用意されているのはClaude、Antigravity、オープンソースのOpenClawの3クライアントだ。
スマートホームの世界では、Matterがメーカーの壁を越えた機器間の相互運用性を実現するスタンダードとして普及を進めてきた。それと軌を一にする流れではあるが、Google版のアプローチはCloudプロジェクトの構築・月額20ドルのサブスクリプション・エージェントへの信頼という三つを要求する。エンジニア以外が気軽に触れる段階ではまだない。
詳細はGoogle Home now lets Claude and other AI agents control your smart home, in early accessを参照していただきたい。