9月12日、SiliconAngleが「Chinese AI chip developer Enflame raises $912M in IPO」と題した記事を公開した。中国のAIチップ開発企業・燧原科技(Enflame)が上海市場でIPOを実施し、上場初日に179%高で引けた。米制裁によって先端プロセスへのアクセスが制限されるなか、約9億1200万ドルを調達して次世代チップ開発を加速させる構えだ。
初値から179%高で引けた上海デビュー
Shanghai Enflame Technology(燧原科技)は、62億元(約9億1200万ドル)を調達し、上場初日に179%高で引けた。発行株数は4304万株で、発行済み株式の約10%に相当する。終値ベースの時価総額は1710億元(約255億ドル)に達した。
個人投資家の需要が極めて旺盛で、小口向け割当分に対して6109倍もの応募が集まった。Enflameはこれを受けて個人向け配分を拡大して対応した。
米制裁下で育ったデータセンター向けAIチップ
Enflameは2018年に設立され、データセンター向けAIアクセラレーターの開発を手がける。翌2019年に初代チップ「DTU 1.0」を発表。GlobalFoundriesの12nmプロセスで製造され、トランジスタ数は140億個だった。
その後3世代の改良を経て、昨年7月に第4世代チップ「L600」を発表した。L600はトレーニングと推論の両ワークロードに対応し、114GBのHBM3メモリを搭載、メモリ帯域幅は毎秒3.6テラビットを誇る。
なお、HBM3(High Bandwidth Memory 3)はサーバー向け標準RAMと比較して大幅に高いメモリ帯域幅を実現するメモリ規格だ。Nvidiaの最新GPU「Rubin」はさらに新しいHBM4を採用しており、HBM3の2倍以上の帯域幅を持つ。米中間の輸出規制によって先端プロセスへのアクセスが制限されるなかで、Enflameがどこまでこの差を縮められるかが今後の焦点となる。
売上は急拡大、ただしTencent依存が課題
財務面では急成長が続いている。2025年の売上高は前年比37%増の9億9020万元(約1億4700万ドル)。さらに今年1〜9月の売上高は23億〜30億元に倍増以上する見通しだとEnflameは述べている。
最大顧客はTencent Holdings(テンセント)で、2025年売上の83%以上を占める。TencentはIPO後も17.95%の株式を保有する筆頭株主でもある。特定顧客への依存度の高さはリスク要因として意識せざるを得ない。
※なお、Tencentに関する株主比率・売上依存度のデータは、元記事が参照するReutersの報道(※編集部注:元記事からリンクされた外部情報源)に基づく数値を含む。
純損失は2025年に25%縮小して11億6000万元となった。収益化の達成は2026年後半から2027年を見込んでいる。今回のIPO調達資金は第5世代・第6世代の機械学習アクセラレーターの開発に充てる計画だ。
中国AIチップ企業のIPOラッシュ
Enflameは、この1年間でIPOを果たした4社目の中国AIチップ企業となる。先行したBiren、MetaX、Moore Threadsはいずれも上場初日に大幅高を演じ、現在も初値を上回る水準で取引されている。
※編集部の考察:以下、元記事が言及するNvidia競合勢力の動向についての情報は、元記事本文に基づく内容を整理したものだが、Positron AI・Etched・Velaura AIおよびOpenAIの推論アクセラレーターに関する記述は元記事の記載範囲に依拠している。出典の性質上、詳細は元記事および各社の公式発表を直接ご確認いただきたい。
中国勢以外でも、Nvidia対抗馬への投資熱は高まっている。Positron AI、Etched、Velaura AIといったAIチップスタートアップが直近数か月で9桁台(1億ドル超)の資金調達を相次いで実施した。
さらにNvidiaは顧客からの競合圧力も受けている。主要クラウド3社はいずれも独自AIチップを開発済みで、OpenAIも独自の推論アクセラレーターを発表し、市販GPUより電力効率が高いと主張している。Anthropicも独自チップの開発を進めているという。
詳細はChinese AI chip developer Enflame raises $912M in IPOを参照していただきたい。