9月11日、RuntimeWireが「OpenAI launches Agents API to run the Codex harness as a managed service」と題した記事を公開した。OpenAIが新たに提供を開始したAgents APIの核心は、これまで開発者が自前で組み上げなければならなかった「エージェントループ」——モデル呼び出し・ステート管理・コンテキスト圧縮・サンドボックス連携——をOpenAIのインフラ上でまるごと肩代わりする点にある。その実体は、OpenAI Codexのコアハーネスをマネージドサービスとして外部APIから呼び出せるようにしたものだ。
CodexハーネスとAgents APIの関係
Agents APIを理解するうえで押さえておきたいのが、Codexハーネスとの関係だ。
OpenAIがGitHubでオープンソース公開しているCodexのコアハーネスは、モデル・ツール・コンテキストを調整するオーケストレーションロジックの実装体だ。Agents APIはこのハーネスをOpenAIのインフラ上でホストし、外部からAPIコールで呼び出せる形にしたものと位置づけられる。コードを読んで中身を把握したうえでも、多くのチームはOpenAIに運用を委ねることを選ぶ——そこにOpenAIのビジネス上の読みがある。
一方、2025年4月に公開されたAgents SDKはネイティブなサンドボックス実行機能を備えているが、エージェントプロセスの運用責任は開発者側にある。Agents APIはその運用部分をOpenAIが引き取る形であり、SDKが「ライブラリ」ならAPIは「マネージドランタイム」という関係に当たる。
エージェントループをOpenAIが肩代わりする
従来、LLMエージェントを動かすにはモデル呼び出し・ツールスキーマ・ステート管理・リトライロジック・サンドボックス環境を自前で組み合わせる必要があった。Agents APIはその「エージェントループ」全体をマネージドサービスとして提供する。
開発者はタスク・モデル・ツール・実行環境を指定するだけでよく、OpenAIがオーケストレーション・長期セッション管理・コンテキスト管理を担う。
ローンチ時のサンプルでは、モデルを指定し、MCP(Model Context Protocol)サーバーを接続し、最大3つの並列サブエージェントを有効化し、OpenAIホスト環境を割り当てる構成が示されている。セッションはターン間でステートを保持でき、作業を委譲し、サンドボックス上のファイルをダウンロード可能なアーティファクトとして公開できる。
コンテキスト管理とマルチエージェント
セッションがコンテキスト上限に近づくと、マネージドハーネスが自動的に過去のコンテキストを圧縮し、必要な情報を保持しながら複数のコンテキストウィンドウをまたいで作業を継続できる。ツール検索は必要なタイミングで関連ツール定義を動的にロードし、並列ツール呼び出しや結果フィルタリングも組み込まれている。
マルチエージェントサポートでは、メインエージェントがタスクを分割してそれぞれ独立したコンテキストを持つサブエージェントに割り当て、結果を統合する。コーディング・調査・分析など並列処理が有効なワークロードで、従来なら自前で書いて監視する必要があったオーケストレーション部分が不要になる。
コード実行環境の選択肢
エージェントコードをどこで動かすかは選択できる。
- OpenAIホスト型サンドボックス:コード実行・パッケージインストール・ファイル操作・アーティファクト生成が可能。ネットワークアクセスはデフォルトで有効(アローリスト制限や無効化も可能)。非アクティブなサンドボックスは1時間後に削除される。
- 自前インフラ:独自サーバーやVPC上での実行
- 統合サンドボックスプロバイダー:Blaxel、Cloudflare、Daytona、DigitalOcean、E2B、Modal、Oracle、Runloop、Vercelがローンチパートナーとして参加
ハーネスとサンドボックスを分離している点が設計の肝だ。OpenAIがモデル側のループを管理しつつ、コード実行やファイルはユーザー自身のインフラ内に置ける。
ただし、自前サンドボックスを使ってもAgents APIのセッション経路はOpenAIを通る点は見落とせない。Agents APIドキュメントによると、現時点でデータレジデンシーは米国のみ対応で、Zero Data Retention(ZDR)には非対応だ。
この制約は、日本の開発者にとって特に慎重な検討を要する。金融・医療・行政など規制業種では、個人情報や機密データがOpenAIの米国サーバーを経由することが、法令遵守や社内ポリシー上の障壁になり得る。自前サンドボックスでコード実行環境を国内に置いたとしても、セッション制御の経路がOpenAIを通る以上、データ主権の観点での評価が必要だ。
料金体系と背景
Agents API自体の利用料金は別途発生しない。費用はモデルトークン・ツール利用・OpenAIホスト型サンドボックス(標準コンテナレートで課金)に対してのみかかる。長期稼働エージェントを動かせばモデル・ツール・コンピュートのコストは積み上がるが、オーケストレーション自体への課金項目は設けられていない。
OpenAIは同時に旧来の製品を整理している。2025年6月にはAgent BuilderとEvalsプロダクトを11月30日以降に廃止すると発表しており、コードベースのワークフローをAgents SDKへ誘導していた。Agents APIはその移行先として、ビジュアルワークフロー製品を使わずにマネージド展開の選択肢を提供する位置づけだ。
クイックスタートガイドはパブリックベータ期間中、全開発者に公開されている。
詳細はOpenAI launches Agents API to run the Codex harness as a managed serviceを参照していただきたい。