9月11日、The Next Webが「Skild AI hit $100M in run-rate revenue selling robots a brain that learns from one video」と題した記事を公開した。ロボット向け汎用AIモデルを開発するSkild AIが、初の商用展開から10ヶ月で年間経常収益(ARR)1億ドル(約150億円、1ドル=150円換算)を達成したことを伝えている。
「1本の動画を見せるだけ」で新タスクを学習するロボットAI
Skild AIが商業的に販売しているのは、特定タスク専用のプログラムではなく、汎用ロボットブレインだ。
先月リリースされたS1モデルは、人間が作業している様子を収めた1本の動画(10分超のシーケンスにも対応)を見るだけで、そのタスクを学習する。植木鉢への植え替え、コーヒーの淹れ方、キットの組み立てといった作業がその例として挙げられている。
アーキテクチャの詳細について元記事は多くを明かしていないが、S1は大規模な事前学習済みモデルをベースに、単一のデモ動画から得た視覚・動作情報を少量ショット適応(few-shot adaptation)の枠組みで取り込む構成とされている。従来の模倣学習では数百件のデモが必要だったのに対し、S1は1回のデモが約380サンプル分の効果を持つとSkildは主張する。これが「動画1本」という価値提案の技術的な根拠となっている。
CEOのDeepak Pathak氏は「パンケーキをひっくり返した最初の瞬間、自分たちも信じられなかった」と述べている。このタスクは学習データに含まれていなかったものだ。
Skildの公表するベンチマークでは、**学習済みタスクで96%、未学習タスクで66%**の成功率を達成している。
10ヶ月で60社超、ARR1億ドルへ
Bloombergの報道によると、Skild AIのソフトウェアは現在、60社以上の数百台のロボット上で稼働している。今年初頭は8社だったため、急速に導入が広がっている。
Pathak氏は「これはロボティクスがデモの時代から展開の時代へ移行する新たな章だ」とコメントしている。
Skildは今年1月に評価額140億ドル(約2兆1000億円)で14億ドル(約2100億円)を調達しており、7ヶ月で評価額が3倍以上に膨らんでいる。同社の社長が先月TNWに語ったところでは、2025年の収益は約3000万ドル程度だったという。それがわずか数ヶ月でARR1億ドルに達した計算になる。
顧客として言及されているのは日本のカフェと米国の倉庫だが、具体的な企業名は公表されていない。また4月には、Zebra Technologiesのロボティクス自動化事業を買収している。
EU機械規制(2027年施行)との交差点
技術的に興味深いのは、S1モデルのコアな価値提案——「出荷後に学習して振る舞いを変える」——が、欧州の規制対象に直結するという点だ。
2027年1月20日に施行されるEU機械規制(Machinery Regulation)は、AIベースの安全機能と自律的に振る舞いを変化させる機械を初めて規制対象に組み込む。これらには、メーカー自身の適合宣言ではなく、第三者の認証機関(notified body)による審査が必要になる。
「訓練データに含まれていないタスクを実行できる」という売り文句は、まさにこの定義の中心に位置する。ただし、規制開始まであと16ヶ月あり、こうしたモデルを対象にした審査事例はまだ存在しない。
Skildが欧州向けに販売しているかどうかについては、同社はコメントを避けている。
詳細はSkild AI hit $100M in run-rate revenue selling robots a brain that learns from one videoを参照していただきたい。