9月9日、TechSpotが「Jensen Huang declares AGI has arrived, again, and again he's selling GPUs」と題した記事を公開した。NVIDIAのCEO Jensen HuangがAGI到来を今年2度目に宣言し、その発言がGPU販売と密接に結びついている構図について詳しく報じている。
「AGI到来」宣言、今年2度目
HuangがAGI(汎用人工知能)の到来を宣言したのは、今年に入ってこれが2度目だ。
1度目は3月、AIエージェント技術の普及を根拠に掲げた。インフルエンサーの設計やデジタルコミュニティの自律運営ができる世界を示しつつ、「AIが10億ドル規模の企業を運営できる。ただしNVIDIAは除く」と述べた。
2度目となる今回のトリガーは、OpenAIが先週リリースした最新モデルだ。OpenAIの幹部も「AGI時代の幕開け」を宣言しており、Huangはその波に乗った格好となる。
発言の構造:賛辞の直後に「Blackwell GPU」
記事が指摘する最も興味深い点は、HuangのAGI称賛の直後に必ずNVIDIA製品の話が続くというパターンだ。
今回もOpenAIの最新モデルへの賛辞を述べた後、Huangは「OpenAIは10万基以上のNVIDIA Blackwell GPUでそのモデルを訓練した」「40万基が近くオンラインになる予定だ」と付け加えた。AGI到来の宣言が、そのままGPU需要の正当化に直結している。
3月の発言でも構造は同じだった。エージェントAIの可能性を語りながら、処理能力=NVIDIA GPUの必要性を訴えた。
NVIDIAのBlackwellアーキテクチャは2024年に発表された同社の最新世代GPU群であり、大規模AI学習・推論ワークロードを主なターゲットとしている。HuangがAGI言説と結びつけるのは、まさにこのBlackwell製品ラインの需要喚起という文脈においてだ。
定義をずらす戦略
さらに注目すべきは、Huangが同じ決算期のアーニングスコールでは、AGIというマイルストーン自体を「意味がない」と発言していることだ。「特定タスクではAGIはすでに到達済み」と述べつつ、最も強調したのは「生成AIはすでに利益を生むトークンを産出している。さらなるコンピューティング能力が必要だ」という点だった。
「さらなるコンピューティング能力」とはすなわち「さらなるNVIDIA GPU」である。
AGIの定義を都合よく伸縮させながら、一貫して同じ結論(GPU購入の必要性)に誘導している構図は、記事も率直に「チップを売ろうとしているように聞こえる」と評している。元記事のトーンはこの点について批判的であり、本稿もその論調を忠実に反映している。
OpenAIの最新モデルをめぐる評価
今回Huangが「AGI到来」の根拠として持ち出したOpenAIの最新モデルだが、リリース直後からベンチマーク結果への疑問が噴出している。複数のテストでほぼ満点に近いスコアを記録した一方、他モデルに劣る領域も存在することが明らかになっているという。
現在、OpenAIのプレミアム・ビジネスプランの加入者向けに順次展開中で、無料ユーザーへの提供時期は未発表のままだ。
AGI定義をめぐる業界の混乱
そもそもAGIの定義自体がコンセンサスを欠いている。OpenAI CEOのSam AltmanやSoftBankの孫正義はかつて「2030年までにAGI到達」と予測していたが、Huangを含む一部の業界リーダーは「すでに到達済み」と言う。「どこでラインを引くか」「そもそも投資家向けのバズワードではないか」という根本的な問いに、業界全体が答えを出せていない状態だ。
AGIの定義が曖昧なままであることは、こうした宣言を検証困難にする。Huangの発言が「販売促進のレトリック」なのか「真剣な技術的見解」なのかを判断するためにも、定義の問題は避けて通れない論点だ。
詳細はJensen Huang declares AGI has arrived, again, and again he's selling GPUsを参照していただきたい。