6月27日、Sophia Fox-SowellがStateScoop誌に「California launches AI assistant to help residents navigate state services」と題した記事を公開した。1万6,000棟以上が焼失した2025年のLA山火事を直接の契機として、カリフォルニア州がAnthropicのClaudeを活用したAIアシスタント「AskCA」を立ち上げた。住民が行政の専門家にならずとも必要なサービスにたどり着けることを目指した取り組みで、すでに州全体のAI調達戦略とも連動している。
Claudeを使った行政AIの実例:カリフォルニア州「AskCA」
カリフォルニア州のGavin Newsom知事は、AI行政アシスタント「AskCA」のプロトタイプを発表した。州のOffice of Data and Innovation(データ・イノベーション局)が開発したもので、住民が就職・起業・家族向けサービスの利用・災害復旧といった「ライフイベント」に応じて必要なリソースを探せるよう、公共サービスへの一元的な入口を提供する。
バックエンドにはAnthropicのClaudeモデルを採用。単に会話的な回答を生成するだけの商用チャットボットとは異なり、州の専門家が検証済みソースからの回答を確認・バリデーションする体制を組み込んでいる。サイバーセキュリティ支援はCalifornia Department of Technologyが担う。
2025年のLA山火事が開発の契機
AskCA誕生の直接的なきっかけは、2025年のロサンゼルス大規模山火事だ。この災害では住宅・商業施設・その他建物を合わせて1万6,000棟以上が焼失した。州はすでに昨年、火災後の建築許可申請を迅速化するためのAIツールを導入しており、AskCAはその延長線上にある取り組みといえる。
Newsom知事は声明で次のように述べている。
「カリフォルニア住民が助けを必要としているとき、行政の専門家にならなければ支援を見つけられないという状況であってはならない。カリフォルニアが誇る最良のテクノロジーを使って、行政をより効率的・効果的にし、住民が必要なサービスにたどり着きやすくする。」
Anthropicとの関係:半額契約から始まった州ぐるみの展開
AskCAは単独の施策ではない。カリフォルニア州は今年6月、Anthropicと割引契約を締結し、州・地方機関がClaudeを行政業務・情報分析・住民サービスに半額で利用できる枠組みを整えた。元記事では対象機関数や契約期間の詳細には言及されていないが、州全体を対象とした大規模な調達枠組みとして位置づけられている。
また、州職員向けには別途Poppyと呼ばれるAIアシスタントも開発済みだ。AskCAが住民向けの窓口であるのに対し、Poppyは職員の内部業務を支援する位置づけとなっており、住民側・職員側の双方をAIでカバーする体制が整いつつある。
他州の動向と比較
行政へのAI導入はカリフォルニアだけの動きではない。テキサス州やジョージア州もチャットボットを政府サイトに導入している。ネブラスカ州では、DMV(車両管理局)でのAIパイロット導入後にオンラインサービスへの誘導が3,400件超に達し、一部地域では電話問い合わせ量が20%減少するという成果が出ている。
地方政府レベルでは、アリゾナ州マリコパ郡やワシントンD.C.がAIアシスタントと地理情報システム(GIS)を連携させ、位置情報に基づいた質問への回答を可能にしている。
次のステップ:情報検索から「サービス接続」へ
現状のAskCAは情報の検索・案内が主な機能だが、州が次に目指すのは、住民を実際の行政サービスに直接つなぐ仕組みの構築だ。現在はベータテスターを募集中で、9月30日からはCalHR(人事局)がAIを使った求人マッチング機能の展開を予定している。
情報提供にとどまらず、手続きそのものをAIが仲介するフェーズに踏み込めるかどうかが、このプロジェクトの真価を問う試金石になる。
詳細はCalifornia launches AI assistant to help residents navigate state servicesを参照していただきたい。