9月7日、PYMNTSが「ByteDance Lands $29.6 Billion Loan to Fuel AI Advances」と題した記事を公開した。ByteDanceが約296億ドル(約4.3兆円)の大型融資を確保し、AI投資を本格化させていることを詳しく伝えている。
無担保で296億ドル──銀行が「名前だけで」貸した
Reutersが9月4日に報じた内容によると、ByteDanceはほぼ30行の銀行から296億ドル(約4.3兆円)の融資を確保した。
この融資で特筆すべきは、無担保である点だ。ByteDanceは担保を一切差し出していない。情報筋はReutersに対して次のように述べている。
「これほど大規模なメガローンが無担保というのは極めて稀だ。銀行は実質的にByteDanceの名前だけを頼りにしている」
銀行側がそれだけの信用力をByteDanceに認めているということであり、通常のシンジケートローン(注:複数の金融機関が団体を組成し、同一条件で融資する手法)の常識からすると異例の対応といえる。
当初ByteDanceは200億ドルの調達を計画していたが、銀行からの強い反応を受けて目標額を引き上げた。最終的な296億ドルという金額は、アジアで今年2番目の規模となる。1位は昨年3月にSoftBankがOpenAIへの投資強化のために調達した400億ドルだ。
資金の使途:中国外のAIインフラ整備
調達した資金は中国国外のプロジェクトに充当される予定で、特に東南アジアのデータセンターへの容量購入が主な用途として挙げられている。
調査会社OmdiaのチーフアナリストであるLian Jye Su氏は次のように分析する。
「ByteDanceはAIデータセンターの分野でローカルのハイパースケーラー(注:大規模クラウドインフラ事業者)と競合し、マルチモーダルAIモデルの分野ではグローバルのハイパースケーラーと競合している」
中国のAI企業による海外インフラ整備への大規模投資は、米国や欧州のクラウド事業者が東南アジアで積み上げてきた優位性を揺るがす動きとして注目されている。
TikTok運営企業が「AI企業」として認知された意味
ByteDanceはTikTokの運営会社として一般に知られているが、今回の融資はAI分野での存在感を銀行業界が正式に評価したことを示している。
ByteDanceのAI事業はデータセンター投資にとどまらず、コンテンツ領域にも及んでいる。同社はAIツールの活用をめぐってHollywoodとの著作権合意を締結しており、これはAI生成コンテンツにおける権利処理の枠組みを整えることで、エンターテインメント分野でのAI事業展開に法的な足場を確保する動きと捉えられる。インフラ投資と並行してコンテンツ領域での正当性を獲得していく姿勢は、ByteDanceがAI事業の多角化を着実に進めていることを示している。
SoftBank/OpenAIとの対比で見る資金規模
| 融資主体 | 金額 | 時期 | 用途 |
|---|---|---|---|
| SoftBank | 400億ドル | 2025年3月 | OpenAIへの投資 |
| ByteDance | 296億ドル | 2026年9月 | AI・海外データセンター |
アジア市場だけでも昨年来、兆円単位のAI投資が相次いでいる状況だ。
詳細はByteDance Lands $29.6 Billion Loan to Fuel AI Advancesを参照していただきたい。