9月6日、Matthias Bastianが「Google brings AI music generation directly into the Gemini app with its new Lyria 3.5 model」と題した記事を公開した。SunoやUdioといった音楽生成AIスタートアップが台頭し、著作権訴訟が相次ぐ中、Googleが本格的な音楽生成機能をGeminiアプリに直接統合してきた。新モデル「Lyria 3.5」はAPIでも公開されており、開発者がすぐに試せる環境も整備されている。
GeminiアプリにAI音楽生成が統合
Googleは音楽生成モデルLyria 3.5をGeminiアプリに直接統合した。ユーザーはGeminiアプリ上でジャンルやスタイルを指定し、ボーカルあり・インストルメンタルのどちらかを選んで楽曲を生成できる。生成できるトラックは短いものから数分程度の長めのものまで対応しており、BGM用テンプレートやパーソナライズされた誕生日ソングのテンプレートも用意されている。テンプレートの存在は、音楽制作に不慣れなユーザーでも迷わず使い始められるよう設計されたものだ。
Googleによれば、Lyria 3.5は前世代モデルと比べてより表現力の高いボーカルとリッチな楽曲アレンジを実現しているとのことだ。英語をはじめ複数言語のボーカル生成に対応しており、音質面でも従来モデルから明確に向上しているとGoogleは説明している。
なお、GoogleのLyriaシリーズはもともと2023年に初代モデルが発表され、その後段階的に改良が重ねられてきた経緯がある。今回のLyria 3.5は世代番号が示す通り、継続的な品質改善の積み重ねの上に位置する。
利用できる場所
Lyria 3.5はGeminiアプリ以外にも複数のプラットフォームで使える。
- Google Flow Music: Lyria 3.5を使った音楽生成に追加機能を加えた専用アプリ。より細かいパラメータ操作や編集機能が提供されており、音楽制作により踏み込んだユーザー向けの入口となっている
- Google AI Studio: 開発者向けにAPIから直接試せる。モデル指定でLyria 3.5を選択可能
- Google Vids: Workspace向けのビデオ作成ツールにも統合済み。動画制作のワークフロー内でBGMを生成できる
Google Flow MusicはGoogleが提供するサービスとして紹介されているが、公式ドメインの詳細については元記事を確認いただきたい。
ライセンス済みデータのみで学習と主張
音楽生成AIでとりわけ問題になるのが著作権だ。Googleは「Lyria モデルはライセンスを取得したコンテンツのみで学習した」と説明している。
この主張が注目される背景には、競合他社をめぐる法的紛争がある。Sunoはドイツの裁判所で著作権侵害の判決を受け、フェアユース主張も退けられた。同様にUdioも米国でレコード会社から提訴されており、音楽生成AI全体が著作権リスクの焦点となっている。SunoやUdioはもともとスタートアップとして急速に普及したが、学習データの取り扱いが法的問題に発展した格好だ。
Googleはこうした状況を意識してライセンス済み学習データを強調しているが、実際にどのデータを使ったかは具体的に開示していない。「ライセンス済み」と言いながら詳細不明という状況は、業界全体でよく見られるパターンであり、透明性の問題は依然として残る。
音楽生成AI競合との立ち位置
現在の音楽生成AI市場には、SunoやUdioのほか、Metaが開発するMusicGen、Stability AIのStable Audioなど複数のプレイヤーが存在する。これらの多くはAPIや研究用途での公開が先行していたのに対し、GoogleはGeminiという巨大なコンシューマー向けプラットフォームに直接統合することで、一般ユーザーへのリーチという点で一気に差別化を図った形だ。
テキスト・画像・動画に続いて音楽がGeminiのネイティブ機能として加わったことで、単一インターフェースから操作できるモダリティがさらに広がった。Googleが「AIアシスタント」の定義を拡張し続けている流れの中で、今回の統合はその一里塚と見ることができる。
エンジニア視点での注目点
開発者にとっての実用ポイントはGoogle AI Studio経由でAPIとして即座に試用できる点だ。モデル名lyria-3.5を指定するだけでアクセスでき、プロダクトへの組み込みや実験を素早く始められる入口が整備された。
Geminiアプリへの統合は、GoogleがAIのマルチモーダル展開を着実に進めている一例でもある。テキスト・画像に続き、音楽生成もGeminiの一機能として取り込まれたことで、単一インターフェースからアクセスできるモダリティがさらに増えた。音楽生成をAPIとして扱える環境が整ったことで、アプリへの組み込みやプロトタイピングの選択肢は確実に広がる。
詳細はGoogle brings AI music generation directly into the Gemini app with its new Lyria 3.5 modelを参照していただきたい。