9月1日、CNBCが「Dell surges 10% after lifting fiscal 2027 forecast on AI server strength」と題した記事を公開した。DellがAIサーバー事業の急拡大を背景に2027会計年度の業績予想を大幅に上方修正し、時間外取引で株価が10%上昇したと報じている。
最も驚くべきは、AIサーバーの通期売上成長予測がわずか半年で「前年比+103%」から「前年比+200%」へと倍増したという事実だ。AIインフラ需要の加速がいかに急激かを示す数字であり、HPC(高性能計算)サーバー市場でHPEやSuperMicro、ODMメーカーと競合するDellが、その波を正面から受けている格好だ。
AIサーバー予測、半年で「2倍」から「3倍」へ
Dellは2027会計年度のAI最適化サーバー売上を740億ドル(前年比+200%)と見込むと発表した。わずか6ヶ月前の予測は+103%成長だった。半年で成長予測が倍増したことになる。
ここでいう「AI最適化サーバー」とは、NvidiaのH100/H200といったGPUを大量搭載し、大規模言語モデル(LLM)の学習・推論ワークロードに特化した高単価サーバーを指す。ChatGPTをはじめとするジェネレーティブAIの商用展開が本格化するにつれ、クラウドプロバイダーや大企業がこうした専用インフラへの投資を急拡大させており、Dellはその主要サプライヤーの一角を占める。なお、GPU自体はNvidiaが供給しており、DellはNvidiaとの密接なサプライチェーン関係を背景にAIサーバーの組み立て・販売を手掛けている。
第2四半期の決算概要
2027会計年度第2四半期(7月31日締め)の実績は、アナリスト予想を軒並み上回った。
| 指標 | 実績 | 予想(LSEG) |
|---|---|---|
| 調整後EPS | $7.04 | $4.92 |
| 売上高 | $469.7億 | $449.2億 |
売上高は前年同期比58%増。純利益は41.3億ドル(EPS: $6.34)で、前年同期の11.6億ドルから約3.6倍に拡大した。EPSはアナリスト予想を約43%上回っており、サプライズの規模としても異例の大きさだ。
データセンター部門が牽引
セグメント別では、データセンター向けハードウェアを担うインフラストラクチャ・ソリューション・グループ(ISG)が前年比89%増の317.8億ドルを記録した。ISGはDellのサーバー・ストレージ・ネットワーキング製品を束ねる事業部門であり、今やDell全体の売上の約7割を占める成長エンジンとなっている。
内訳は以下の通りだ。
- AI最適化サーバー:164.0億ドル(アナリスト予想160.7億ドルを上回る)
- 従来型サーバー・ネットワーク機器:105.3億ドル
- ストレージ:48.5億ドル(前年比+26%)
AIワークロードの増加に伴い、GPU搭載サーバー単体にとどまらず、周辺のネットワーク機器やストレージといったインフラ全体への投資も連動して拡大していることがわかる。競合のHPEやSuperMicro、さらにはODM直販を進めるクラウド各社との競争が激化するなか、Dellは既存の企業向け営業網とNvidiaとの調達関係を強みとしている。
PC事業を担うクライアント・ソリューション・グループは150.3億ドル(前年比+20%)で、こちらはアナリスト予想をわずかに下回った。AI PC需要の立ち上がりには期待が持たれるものの、現時点ではISGの爆発的成長に対して貢献度は限定的だ。
大型契約も追い風
今四半期中には、米国防総省向けソフトウェア提供契約(97億ドル)を受注した。またAIクラウドインフラプロバイダーのIrenが、NvidiaチップGPUを搭載したDellサーバーを含む16億ドル相当のハードウェアを購入することで合意した。IrenはAI向けデータセンターの運営・拡張を手掛ける企業であり、こうした専業プロバイダーからの大口受注がDellのAIサーバー売上を底上げしている構図が鮮明だ。
通期・来期見通しも大幅引き上げ
通期見通しについては、売上高1,920億ドル、調整後EPS $25.50 を見込む。5月時点の予想(売上高1,650〜1,690億ドル、調整後EPS $17.90)から大幅に引き上げられた。上方修正の幅は売上高で約14%、EPSで約42%に達しており、利益率の改善もあわせて進んでいることがうかがえる。
第3四半期については、売上高490億ドル(前年比+81%)、調整後EPS $6.50 を見込んでおり、いずれもアナリスト予想(売上414.2億ドル、EPS $4.49)を大きく上回る。AIインフラ需要の勢いが少なくとも短期的には衰えていないことを、経営陣自身が数字で示した格好だ。
株価と創業者の資産
Dell株は記事公開時点の2026年年初来で236%上昇しており、同期間のS&P 500の+11%を大幅に上回っている。なお、株価は市況によって変動するため、本稿閲覧時点での水準とは異なる場合がある点に留意されたい。AIインフラへの投資手段として個人・機関投資家から資金が流入しているが、高成長期待を織り込んだバリュエーションには相応のリスクも伴う。
創業者のMichael Dell氏は、Bloombergの試算によれば現在世界第5位の富豪となっている。
詳細はDell surges 10% after lifting fiscal 2027 forecast on AI server strengthを参照していただきたい。