8月29日、PCMagが「Google's AI Overviews Are Getting Longer, Whether or Not You Want Them」と題した記事を公開した。GoogleがAI Overviewsの表示を自動的に長文化・拡張する変更を実施し、出版業界やSEO関係者に波紋を広げていることについて詳しく紹介されている。
「もっと見る」ボタンが消え、AI回答が自動展開へ
Googleは、検索結果ページに表示されるAI Overviews(AI概要)の表示範囲を大幅に拡大する変更を実施した。従来は「Show More(もっと見る)」ボタンをクリックしなければ全文を読めなかったが、この仕組みが撤廃され、AIによる回答がデフォルトで長文表示されるようになった。
これにより、オーガニック検索結果(通常のウェブサイトへのリンク)はページのさらに下方へと押し下げられる。Xのユーザーからは、「AI Modeを有効にした時と同じくらい詳細な回答が表示される」との報告が相次いでいる。また、ページによっては「Ask anything(何でも聞く)」入力ボックスがデフォルトで表示され、ユーザーが追加の質問を続けられる構造になっている。
この変更を最初にXで報告したSEO専門家のBarry Schwarzは、一言「not great for publishers(出版社にとって良くない)」と述べた。
Googleの説明:「すべてのクエリに適用されるわけではない」
GoogleはSEO Roundtableに対し、変更を公式に認めつつも、対象はあくまで「一部の検索クエリのみ」だと説明した。
AI SearchのVP of ProductであるRobby Steinは、Xへの投稿でこう述べた。
"AI Overviews only dynamically expand for topics where our systems determine it to be most useful. If you've already started scrolling, the expansion stops to keep your place."
(AI Overviewsが動的に展開されるのは、システムが最も有用と判断したトピックに限る。スクロールを開始していれば、現在位置を保持するために展開は停止する)
また「ユーザーのフィードバックに基づいて改善を続ける」とも加えた。ただし現時点では、どのクエリが自動展開をトリガーするかの明確な条件は公開されていない。
出版業界への打撃:訴訟・独禁法調査も
AI Overviewsは2024年5月の一般展開開始以来、一貫して批判にさらされてきた。ユーザーからは「この機能を簡単にオフにする方法がない」という不満が続出しており、Redditでも無効化方法を求めるスレッドが繰り返し立ち上がっている。
出版業界の反発はより深刻だ。なお、以下の訴訟・申し立てはいずれも今回の「自動展開」変更(2025年8月)以前に起きた出来事であり、AI Overviewsそのものへの累積的な反発として位置づけられる。
- 2024年7月:EUで、非営利団体Independent Publishers AllianceがGoogleに対して独占禁止法違反の申し立てを行った。
- 2024年9月:Rolling Stone、Billboard、Variety、The Hollywood Reporterなどを傘下に持つPenske Media(PMC)が、AI Overviewsによるアフィリエイト収益への悪影響を訴えてGoogleを提訴した。大手出版社による同機能への訴訟としては初となった。
今回の自動展開化はこうした対立の延長線上にある変更であり、トラフィック流出への懸念をさらに強める可能性がある。
AI Overviewsを完全に無効化する公式の手段は現時点で存在しないが、表示頻度を減らすためのいくつかの回避策はPCMagの別記事で紹介されている。
今後の焦点
Googleが検索体験をAI中心へと再設計するなか、クリックトラフィックへの依存度が高いメディア・パブリッシャーにとって、この変更がどの程度の影響をもたらすかが注目される。自動展開の対象クエリが今後どこまで拡大するか、またGoogleが出版業界との関係をどのように調整していくかが、引き続き業界の焦点となるだろう。
詳細はGoogle's AI Overviews Are Getting Longer, Whether or Not You Want Themを参照していただきたい。