8月29日、CNBCが「The big lesson from this week's earnings: The AI buildout is not a zero-sum game」と題した記事を公開した。今週のNvidia・Salesforce・CrowdStrikeの決算結果が示す「AIへの投資はハードウェアとソフトウェアの両者が同時に恩恵を受けられる非ゼロサムゲームである」という市場の構造変化を伝えている。
AIはゼロサムではなかった——今週の決算が示した本質
今週の決算シーズンで最も重要な示唆は、「AIへの設備投資の拡大がハードウェア企業の独り勝ちではなく、ソフトウェア企業にも追い風になっている」という事実だ。
Nasdaq総合指数は0.9%上昇、S&P 500は0.5%上昇、ダウ平均は0.5%上昇と3週ぶりの上昇週を記録した。特に木曜日の上昇が大きく、3指数ともに8月4日以来最大の日中上昇率を記録した。その原動力となったのがNvidiaの決算だ。
Nvidia:需要不安を払拭した4四半期連続の加速成長
NvidiaはFY2Q(会計年度第2四半期)において市場予想を上回る業績を発表し、売上成長の加速が4四半期連続となった。さらに翌会計年度の見通しも市場予想を大幅に上回る内容だった。
決算説明会で言及された注目点の一つが、AmazonがNvidiaのGPUを2027〜2028年にかけてさらに200万基追加購入するという内容だ(※この数字は元記事に記載されているが、非常に大きな数値であるため、原文の文脈と照らし合わせたうえで参照されたい)。AmazonはTrainiumなど独自AIチップの開発を進めているにもかかわらず、Nvidiaへの支出を増やしている。これはNvidiaが主張してきた「顧客はAIインフラへの投資から十分なリターンを得ている」という論拠を裏付ける。
CEO Jensen Huang氏は「投資回収期間(ROI)は今や1年を切っている」と述べた。
また、成長の担い手も変化しつつある。CFOのColette Kress氏は、現四半期の成長の主役は大手ハイパースケーラー(AWS、Azure、Googleなど)ではなく、CoreWeaveやNebiusといったネオクラウド事業者や一般企業になると説明した。AI需要がより広い顧客層に拡大していることを意味する。
SalesforceとCrowdStrike:「AIに食われる」懸念が「AIで伸びる」現実に
今年前半、投資家の間には「生成AIがSaaSビジネスを破壊するのではないか」という懸念が根強かった。Salesforceの決算はその懸念を正面から否定した。
CEO Marc Benioff氏は「SaaSpocalypse(SaaS終焉論)はナンセンス」と一蹴。上位10社のAI企業のうち9社がSalesforce製品を使用しており、それらの企業のSalesforceへの支出は前年比435%増だと明かした。
同社はまた、Amazonが大規模出資するAI企業・Anthropicの大規模言語モデル「Claude」を活用した新機能を発表している(※元記事における正式名称については原文を直接確認されたい)。営業担当者がSalesforce内の顧客データにアクセスしながら、メール作成やレコード更新といった業務をClaudeに処理させることができる機能とされている。
サイバーセキュリティのCrowdStrikeも同様の構図を示した。AI駆動型の攻撃が高度化するにつれて防御側の需要が高まり、売上は前年比26%増を達成。CEO George Kurtz氏は「レガシー技術や無償で提供される技術では不十分だと多くの企業が気づき始めている」と述べた。
木曜日の株式市場では、Salesforceが22%急騰、CrowdStrikeが約20%上昇し、同週のポートフォリオで最大の上昇銘柄となった。
Metaの法的リスク解消——サイドストーリーが示す規制の影
同週にはAI関連決算と並行して、別の重要な動きもあった。Metaは水曜日、48州・ワシントンD.C.・3つの米国領土の司法長官との間で、未成年ユーザーへの悪影響に関する集団訴訟について180億ドルの和解に合意した。長期裁判のリスクとそれに伴う不確実性が除去された形だ。
和解条件には、未成年向けのデフォルト利用時間制限、保護者向けコントロール強化、年齢確認措置、授業時間中のプッシュ通知制限などが含まれる。Metaの株価は週間で5%上昇して終えた。一方、同日Snapchatの株価は8%超の下落となり、SNS全体に対する規制強化への懸念が市場に広がった。
このMetaの動向は今週の主テーマであるAI非ゼロサム論の中心からは外れるが、テクノロジー企業が規制・法的リスクと並走しながら市場評価を形成している現状を示す一例として元記事で取り上げられている。
まとめ:「AIはパイの奪い合いではない」
今週の決算が示したのは、AIへの大規模投資がチップメーカーだけを潤すのではなく、その上に構築されるソフトウェア層にも需要増をもたらしているという構造だ。NvidiaのJensen Huang氏が言う「供給こそが制約」という状況は、需要が依然として旺盛であることの裏返しでもある。
詳細はThe big lesson from this week's earnings: The AI buildout is not a zero-sum gameを参照していただきたい。