8月29日、CBS Newsが「Younger workers are more scared of AI than older employees, survey finds」と題した記事を公開した。AIに対する不安が若い世代ほど強く、Z世代の労働者が最も悲観的であるというGlassdoorの調査結果を伝えている。
Z世代の3人に1人しかAIを肯定しない
AIへの期待と恐怖、どちらが強いかは世代によって大きく異なる——そんな調査結果をキャリア情報サイトのGlassdoorが発表した。
AIに対して肯定的な意見を持つ割合は、**Z世代(おおむね1990年代後半〜2010年代初頭生まれ。本記事では元記事の定義に準拠)でわずか33%にとどまる。一方、X世代(本記事では1965〜1980年生まれとして言及)では47%**が肯定的だ。つまり、テクノロジーに親しんでいるはずの若い世代のほうが、AIを冷ややかに見ている。
Glassdoorのシニアエコノミストであるクリス・マーティン氏はCBS Newsに対し、「若い労働者はテクノロジーに対してより快適で楽観的だと一般的に予想されるため、これは驚きだった」と述べている。
なぜ若者ほど怖いのか
マーティン氏が挙げる理由は明快だ。AIはエントリーレベル(新人・若手向け)の仕事を置き換えつつあり、その影響をもろに受けるのがZ世代だからだ。
「AIにさらされやすいエントリーレベルの仕事がAIに置き換えられているという証拠が積み上がってきている。AIは彼らの働き方を変えつつあり、20年前の労働者がアクセスできた仕事に彼らはアクセスできないかもしれない」
——クリス・マーティン(Glassdoor シニアエコノミスト)
対照的に、組織の上位に位置し、キャリアが安定している年長の労働者は、大規模言語モデル(LLM)を「自分の仕事を補完するもの」として捉える傾向がある。AIが誤った情報を生成した際に、それを見抜けるのは経験のある社員だ、という点もある。「専門家であれば誤りやハルシネーション(AIによる事実のでっちあげ)を容易に識別して捨てられるが、若い・経験の浅い労働者には正当な事実とハルシネーションの区別が難しいかもしれない」とマーティン氏は述べている。
不満の中身は多岐にわたる
Glassdoorの調査では、労働者が抱くAIへの不満として以下のような声が挙がっている。
- AIに仕事を奪われることへの懸念
- 業務フローへのAIツール導入を強制されることへの反感
- 企業がコアビジネスよりもAIに注力しすぎているという批判
- AIを通じた従業員への連絡や、AIによる監視・スパイ行為への不信感
性別でも温度差あり——Z世代女性は21%のみ肯定
調査では性別による差異も確認された。**Z世代女性でAIに肯定的なのはわずか21%**で、Z世代男性の42%と比べて大幅に低い。
LinkedInの別の調査では、AIが牽引する採用の波がテック業界における既存のジェンダーギャップをさらに拡大させており、AI関連職の新規採用で女性が過小代表になっていることも示されている。
キャリア戦略への示唆
「若者はテクノロジーに強い」という従来の前提が崩れつつある。AIが実際に職を奪い始めている現場では、楽観論よりも現実的な危機感が先行するのは、ある意味では合理的な反応と考えられる。エントリーレベルの職種がAIによって縮小していくなかで、若いエンジニアやワーカーがどうキャリアを設計するかは、今後ますます重要な問いになると考えられる。
※編集部の考察:年長世代がAIを「補完ツール」と捉えやすい背景には、既存の専門知識やドメイン経験があってこそAIの出力を評価・修正できるという構造がある。逆説的に、AIリテラシーを高めるためにも業務上の実経験の積み重ねが重要になりうる点は、若い世代のキャリア形成において見落とされがちな視点かもしれない。
詳細はYounger workers are more scared of AI than older employees, survey findsを参照していただきたい。