8月28日、php-net.proが「Nvidia Reportedly Agrees to Buy Hugging Face for $12.9 Billion」と題した記事を公開した。NvidiaがオープンソースAIモデルハブのHugging Faceを129億ドル(約1.9兆円)で買収する交渉を進めているとの報道を受け、その背景と戦略的意図を整理している。なお、php-net.proはThe InformationやTechCrunchといった主要技術メディアの報道を引用・集約するアグリゲーター系サイトであり、情報の一次ソースとして参照する際には注意が必要だ。
なぜNvidiaがHugging Faceを欲しがるのか
Hugging Faceは2016年創業。オープンソースのAIモデルを共有・配布するプラットフォームとして、エンジニアの間では事実上の標準的インフラになっている。
Nvidiaにとってこの買収が持つ意味は3つある。
1. オープンソースエコシステムにおける影響力の確立
NvidiaのGPUを最大規模で購入してきたOpenAI、Google、Amazon、Anthropicといった顧客たちは、Nvidia依存を減らすべく自社チップの開発を進めている。オープンソースAIの中心地を押さえることは、これらの顧客がNvidiaのハードウェアを使い続ける理由を作ることになる。Nvidiaはすでに自社オープンソースモデルに数百億ドル規模の投資を行っている。
2. クラウドビジネスへの再参入
Nvidiaは約1年前にDGX Cloudビジネスを縮小した経緯がある。Hugging Faceはすでに開発者が借用コンピュートでモデルを実行する仕組みを提供しており、既成のクラウドチャネルとして機能する。また、Nvidiaは顧客向けのクラウド契約で数百億ドル規模のコミットメントを抱えており、Hugging Faceを傘下に収めることで余剰GPU容量の再販先としても活用できる。
3. 政策面での連携
Hugging FaceのCEOであるClem Delangueは今年、ワシントンでのオープンウェイトモデル規制論争においてNvidiaと公に歩調を合わせてきた。中国のAIスタートアップMoonshot AIが開発したKimi K3など中国系ラボのモデルが低コストで米国モデルに匹敵するベンチマーク結果を出したことが安全保障上の懸念を呼ぶ中、DelangueはCBSの番組でNvidiaが改変した中国製オープンソースモデルをサイバー攻撃の防御に使ったと発言。Jensen Huang CEOをはじめ25社が署名したオープンモデル支持の書簡にもHugging Faceは名を連ねている。
報道の概要と信頼性の留保
2025年8月26日、The Informationが情報筋の話として、NvidiaがHugging Faceの買収に合意したと報じた。Business Insiderもその週末に買収交渉の存在を先行報道しており、評価額は130億ドル超としつつも、まだ正式契約には至っておらず破談の可能性もあると伝えた。NvidiaとHugging Faceはいずれもコメント要請に応じていない。TechCrunchは、Nvidiaが誤報と判断した場合には過去に素早く否定声明を出してきたという経緯を指摘している。
現時点では複数メディアが「交渉中」または「合意に近い段階」と報じているにとどまり、正式発表はなされていない。タイトルや本文中の「買収」はあくまで報道ベースの情報であることを念頭に置いて読まれたい。
評価額の急騰が示す地合い
今回の買収価格129億ドルは、2023年に45億ドルで設定されたHugging Faceの評価額からの大幅な跳ね上がりである。2023年のラウンドはSalesforce Ventures主導で2億3500万ドルを調達し、AlphabetのグロースファンドGV、IBM Ventures、そしてNvidia自身も参加していた。
Financial Timesの報道によれば、Hugging Faceは昨年末に70億ドル評価でのNvidiaからの5億ドル投資提案を断っている。理由は「支配的な投資家を持ちたくない」というものだった。The InformationはHugging Faceの年間売上を約1億5000万ドル(2カ月前の約1億ドルから増加)と報じており、Delangueは収益性が目前に迫っていると述べている。
AI業界のインフラ再編という文脈
この買収報道は、AIインフラの統合が急加速する局面で出てきた。直近では、Stripeが2023年初頭創業のモデルルーティングスタートアップOpenRouter(2025年5月時点の評価額13億ドル)を70億ドル超で買収することに合意している。
Nvidia、Stripe、そしてその背後にいる大手テック各社が、AI推論・配信のインフラレイヤーを次々と押さえにかかっている。Hugging Faceが持つのはモデルハブだけでなく、そこに集まる開発者コミュニティそのものであり、それを含めた評価額が129億ドルという数字に反映されている。
詳細はNvidia Reportedly Agrees to Buy Hugging Face for $12.9 Billionを参照していただきたい。