8月28日、The Next Webが「JPMorgan leads a $5B debt package for Volta's AI data centre buildout」と題した記事を公開した。JPモルガンがAIデータセンター構築企業Volta Infra Holdingsへの50億ドル規模のデット調達をリードしていることについて詳しく紹介されている。
設立間もない新興企業に、なぜ50億ドルが集まるのか
Voltaが設立されたのは2025年初頭。Brookfieldのインフラ部門出身のRicard BoladaとSofia Gumuzioが共同創業し、ロンドン・パロアルト・ニューヨークを拠点とする。
それでも資金は驚異的な速度で集まった。今月、Andreessen Horowitz・Altimeter・Nvidia・Michael Dellの出資を受けて3億ドルを調達し、評価額は24億ドルに達した。そして今度は、JPモルガンが50億ドルの融資シンジケーションに向けて貸し手へのアプローチを開始した。
この資金規模を正当化するのが、**Anthropicとの6年・100億ドル契約**だ。Voltaがステルス期間を終えた直後に締結されたもので、コンピューティング容量の供給を約束する。アンカーカスタマー(最初の主要顧客)としてはこれ以上ない実績だ。
舞台はノルウェーの谷、ビットコインマイナーから借りた施設
Voltaの最初の主要拠点は、ノルウェーにあるBitdeerのTydalキャンパスだ。Bitdeerはビットコインマイニング企業で、そのサイトをAI向けに転用している。
スペックは以下の通り:
- ITキャパシティ:121メガワット
- 電源:現地の水力発電(デュアルグリッド接続)
- GPU:NvidiaのVera Rubinシステム
リース契約の内訳も公開されている。Bitdeerの発表によれば、16年間で約47億ドルの契約収益(延長で最大80億ドル)、テナント側には10年目に解約オプションがある。
数字が合わない問題
この構造には明確なリスクがある。
Anthropicとの顧客契約は6年間だ。一方、Bitdeerへのリース契約は10年間解約不可。この4年のギャップは、融資審査において貸し手が最初に突く問題になる。
さらに、もう一つの「50億ドル」がある。Voltaは8月初旬、スペインの資産運用会社Azoraとの間で同額・同規模の非希薄化型インフラプログラムを発表している。元記事では、JPモルガンがシンジケートしているのがそれと同じ案件なのか、別途の調達なのかについて明示的な記述がなく、両者の関係は判然としない。
AIデータセンターへの資金流入の規模感
この案件の背景にある数字は桁違いだ。Bloombergのデータによれば、企業は昨年以来、データセンターおよびAI向けに約6000億ドルを借り入れており、2030年までの建設コストは約5兆ドルに達すると予測されている。
ビットコインマイナーがAIインフラに転用される事例も珍しくなくなった。Anthropicは別途、同じくマイニング企業のRiot Platformsとの間で20年・91億ドル契約を締結していると報じられている。欧州の不動産・電力を使いながら、テナントはアメリカのAIラボ、という構図が定着しつつある。
なお、Anthropicは英国のNscaleとの450億ドル規模のコンピュート契約も結んでいると報じられているが、拠点はウェストバージニア州に置かれる。欧州が土地と電力を供給し、恩恵の大半は米国側に流れるパターンだ。
Voltaの最初の施設は、ノルウェーの谷に建てられる。オーナーはビットコインマイナー、テナントは創業間もないスタートアップ、ユーザーはサンフランシスコのAI企業だ。
詳細はJPMorgan leads a $5B debt package for Volta's AI data centre buildoutを参照していただきたい。