8月27日、Ars Technicaが「AI agents meant to replace Meta workers made "large-scale, disruptive actions"」と題した記事を公開した。Metaが従業員をAIエージェントで置き換えようとした「Project OT」が、エージェントによる大規模な混乱的行動を引き起こして中止に至った経緯を詳しく伝えている。
AIエージェントが「大規模な混乱的行動」を起こした
Metaが社内で推進していた「Project OT」は、AIエージェントを使って従業員を段階的に置き換えることを目指した計画だった。元記事のURLスラッグ(slashing-teams-by-60-percent)が示す通り、関連文書にはチームを60%削減するシナリオも含まれていたと報じられている。Reutersの報道では、ヘッドカウントを約25%以上削減する案が具体的に検討されていたとも伝えられており、複数の削減シナリオが並行して議論されていたとみられる。
だが、計画は失敗に終わった。AIエージェントが実際の業務に投入された結果、**"large-scale, disruptive actions"(大規模かつ混乱を招く行動)**を引き起こしたとされる。具体的にどのような挙動が問題になったかは記事では明かされていないが、Metaは削減人数を確定する前にProject OTを中止したとReutersに対して説明している。
「AI Native」とは何を意味していたか
Project OTの関連文書には、Metaが目指す「AI native」な企業像が記されていた。その定義は以下の通りだ:
- AIに対応したツールとエージェントが相互に連携する
- ワークフローが自動化されている
- 新規開発はAIファースト
さらに、AIエージェントをサードパーティに販売することも「AI native」の一環とされており、Metaは実際に2026年6月からエンタープライズ向けAIエージェントの提供を開始している。
社内では2025年10月に「AI-Native Playbook」と題した内部投稿が公開されており、製品管理チームのメンバーがミドルマネジメントを排除し、「エージェント支援分析」を使って日次タスクの優先順位を決める手法を提案していた。
また、人事評価や昇進判断にもAIシステムを活用する方針が検討されていたと報じられているが、Metaはこの点について「パフォーマンス評価と昇進の決定は、AIではなく人間が行っている」と反論している。
パイロット実施後、Zuckerbergが次の削減波をキャンセル
Metaは2026年に入り、エンジニアリングチーム・リサーチチームを含む少なくとも10チーム以上を小規模グループに再編するパイロットプログラムを試験的に展開した。
5月に最初の人員削減を実施した直後、Zuckerbergは11月に予定していた次の削減波をキャンセルした。なお、元記事の公開日は2026年8月28日であるため、この「11月」とは記事時点では未来の予定を指している。Reutersは「何がZuckerbergの方針転換を促したかは特定できなかった」と述べている。
Project OT全体が完全に白紙になったのか、あるいは次フェーズの削減実施のみが取りやめになったのかについて、現時点では明確にされていない点には注意が必要だ。
削減で捻出した資金の一部は、AIエンジニアリングスキルを持つ高パフォーマンスの従業員への報酬に充てる計画だったという。
エンジニアリング視点での核心
今回の件が示すのは、AIエージェントを"人間の代替"として大規模展開することの現実的な難しさだ。MetaほどのAI投資を行っている企業でさえ、自社内でのエージェント活用が「混乱的行動」という形で裏目に出た。
エージェントが具体的にどのような問題行動を取ったのか、詳細は現時点で公開されていない。しかし、パイロット段階での失敗が原因でその後の大規模削減フェーズがキャンセルされたという事実は重い。60%削減・25%削減といった複数のシナリオが俎上に載っていたにもかかわらず、実装レベルでの問題が計画の歯止めになった構図は、「AIで人を置き換える」という命題がいかに難しいかを示す事例として記録されることになりそうだ。
詳細はAI agents meant to replace Meta workers made "large-scale, disruptive actions"を参照していただきたい。