8月28日、TechSpotが「Nvidia posts another record quarter, predicts explosive AI-driven growth will last through 2028」と題した記事を公開した。四半期売上960億ドルという過去最高を更新しただけでなく、アナリスト予測の45%増を大きく上回る「2028年度に向けて2027年度比70%増収」という強気予測を打ち出したことで、AIバブル懸念が残る市場に再び強烈なインパクトを与えた。
四半期売上960億ドル、純利益は前四半期比2倍超
NvidiaがSECに提出した公式報告書によると、2026年7月終了の四半期における売上高は960億ドル(約14兆円)に達した。これはウォール街の予測平均である919億ドルを大きく上回る数字だ。
純利益は539億ドルと、前四半期(2026年4月期)の247億ドルから2倍以上に膨らんだ。ただし、前四半期比での純利益変動は季節性や一時的要因(在庫調整・税務処理など)に左右される場合があるため、トレンドとして捉える際には前年同期比も併せて確認することが望ましい。元記事でも前四半期比が主たる比較軸として用いられている点には留意が必要だ。1株当たり調整後利益は2.22ドルで、アナリスト予測の2.08ドルを超えた。この決算発表を受け、同社株は翌木曜日の早朝取引で7%超の上昇を記録した。
2027年度比で2028年度に向け70%増収を予測
次の四半期(2026年10月期)の売上見通しは約1,080億ドル。大手銀行・証券会社の予測レンジ(1,052億〜1,100億ドル)にほぼ沿った数字だ。
さらに踏み込んだ数字として、Nvidiaは2027年度(2027年1月期)の売上を基準として、2028年度(2028年1月期)の売上がさらに約70%増になると見込んでいる。元記事時点での大手証券コンセンサスによるアナリストの予測平均が同期間で45%増であることを考えると、相当強気の見通しだ。
CFOのColette Kress氏は決算後の電話会見で「顧客の需要予測は来年の成長率が2倍になることを示している」と述べ、データセンター向けAIアクセラレーター(GPU等を用いたAI計算専用チップ)の需要が依然として拡大していると強調した。多くの機関投資家がAIバブルへの懸念を示す中での発言だけに、市場への安心感を与えた格好だ。
次世代チップ「Vera Rubin」が量産開始
CEO Jensen Huang氏は同会見で、次世代AIアクセラレーター(開発コード名:Vera Rubin)が現在生産フェーズに入ったことを明かした。Vera Rubinは、2025年10月のGPU Technology Conference(GTC)においてコンセプトと技術仕様の概要が初めて公開(お披露目)され、その後2026年1月のCES 2026で製品ラインナップや出荷スケジュールを含む詳細が正式に発表された製品だ。GTCでの発表はいわば「先行公開」であり、CES 2026で初めて製品としての全容が明らかになったという2段階の経緯をたどっている。同社はこれを「AIスーパーチップ」と位置づけており、量産開始は今後の供給拡大に向けた重要な節目となる。
懸念材料:TSMCの供給制約と高帯域メモリのコスト上昇
強気の見通しが並ぶ一方で、不確実要因も残る。Nvidiaの主要製造委託先であるTSMCの供給キャパシティに対する制約と、高帯域幅メモリ(HBM)のコスト上昇が業績の上振れリスクとして挙げられている。HBMはAIチップの演算性能を支える重要メモリ規格で、SK HynixやSamsungが主要サプライヤーだ。
また、地政学的リスクも無視できない。米国政府による対中輸出規制は、Nvidiaの中国向けAIチップ販売に継続的な制約をかけており、同社は中国市場向けに輸出規制に準拠した廉価版チップを投入するなど対応を続けている。一方、競合ではAMDがInstinctシリーズ、IntelがGaudiシリーズでAIアクセラレーター市場への食い込みを図っているが、現時点ではNvidiaのシェアを大きく脅かすには至っていない。
データセンターからコンシューマー市場へ
もともとゲーミングPC・専門ワークステーション向けGPUメーカーとして名を上げたNvidiaだが、AIチップへの転換によって時価総額は5兆ドル超にまで達している。
今後の展開として、同社はAIエージェント企業Perplexityと組み、PC・ワークステーション上でローカル動作するAIエージェント「Portable Computer」の投入を計画している。データセンター向けに集中してきたAIハードウェアビジネスをコンシューマー市場へ広げる動きだ。大規模クラウドインフラ依存から端末側での推論処理へという業界トレンドとも合致しており、Nvidiaがコンシューマー領域でも存在感を高められるかが次の注目点となる。
詳細はNvidia posts another record quarter, predicts explosive AI-driven growth will last through 2028を参照していただきたい。