8月23日、Michal Sutterが「Vercel Introduces 'Is Agentic', a Free Agent-Readiness Scoring Tool That Audits Public Websites Using Ora's 100+ Checks」と題した記事を公開した。この記事では、VercelがリリースしたAIエージェント対応度スコアリングツール「Is Agentic」について詳しく紹介されている。AIエージェントがウェブを自律的に操作する場面が急増するなか、サイト側の「エージェント対応度(Agent Readiness)」を定量的に測る手段がこれまでほぼ存在しなかった。Is Agenticはその空白を埋めるべく登場した無料ツールだ。
AIエージェントに「使えるサイト」かどうかを無料で採点する
AIエージェントがユーザーの代わりにウェブを操作する場面が増えるなか、サイト側がエージェントにとって扱いやすい設計になっているかどうかを測る手段がなかった。ChatGPTのブラウジング機能やAnthropicのComputer Useのように、エージェントが直接ウェブを操作するユースケースでは、サイトが正しいHTTPステータスを返す・JavaScriptに依存しない構造を持つ・機械可読なデータ形式を提供するといった要件が重要になる。しかしそれを一括評価する統一指標はこれまで存在していなかった。Vercelが公開した**Is Agentic**は、その問いに答えるための無料のスコアリングツールだ。
スキャンとスコアリングの実体は、**Ora(ora.ai)**が担う。Oraはエージェント体験の研究・評価方法論の開発に特化した組織であり、Is AgenticはVercelとOraの協業によって成立している。Vercelはインターフェース、レポートページ、ストレージ、スコアの集計表示を担当し、評価ロジックと118項目のチェックリストはOra側が提供する形だ。
利用は無料で、APIキーも課金アカウントも不要だ。ブラウザにURLを入力するか、CLIを使うだけで完結する。
npx is-agentic <domain>
npx is-agentic <domain> --json
--jsonオプションでJSON出力が得られるため、CIに組み込んでサーバーサイドレンダリングのリグレッション検知ゲートとして使うことも想定されている。
118チェック、4層構造のスコアリング
Oraの評価方法論は、エージェントが通過する4つの層に対応している。
| 層 | 配点 | チェック数 |
|---|---|---|
| Discovery(発見) | 20点 | 15項目 |
| Access(アクセス) | 30点 | 41項目 |
| Usability(使いやすさ) | 40点 | 56項目 |
| Payments(決済) | 10点 | 6項目 |
合計118チェック。Oraはこのチェックリストを、意見から設計したのではなく実際のエージェント実行から逆算して構築したと述べている。
Vercelはこれを独自のスコアモデルに再集計する。Essential(必須)チェックが80点プール、Recommended(推奨)チェックが20点プール、Emerging(新興)シグナルが最大5点のボーナスとなり、その欠如がスコアを下げることはない。
特筆すべきなのは「対象外チェックの除外」ロジックだ。推奨チェックは、スキャン結果においてAPIやOAuthフロー、GraphQLエンドポイント、MCPサーバー、決済機能などが確認された場合にのみ適用される。マーケティングサイトがAPIを持っていないことを理由にペナルティを受けることはない。
レターグレードも定義されており、A+(95〜100点)からF(0〜27点)まで6段階で評価される。
レポートの中身と機械インターフェース
各レポートには、検出された証拠と、可能な場合は具体的な改善提案が含まれる。実際のチェックIDにはcontent-no-js、agent-friendly-404、json-ld、sitemap、markdown-negotiation-varyなどが並ぶ。たとえばagent-friendly-404チェックは、アプリシェルを200で返すのではなく本物のHTTP 404ステータスを返しているかを確認する。
「Prompt to fix」機能は、改善提案をそのままコーディングエージェントへの実装ブリーフに変換する。
機械向けのインターフェースとして3種類が用意されている。
- レポートAPI(
/api/v1/report):レートリミットは60秒ウィンドウあたり120リクエスト。エラーレスポンスはRFC 9457(HTTP APIにおける問題詳細の標準フォーマット)形式で返却される。 - OpenAPI定義(
/openapi.json):RFC 9727 APIカタログ(APIのメタデータを機械可読な形式で公開する仕様)経由で検出可能。廃止予告はRFC 9745Sunsetヘッダで行い、90日前に通知される。 - MCPサーバー(
https://is-agentic.com/mcp):Streamable HTTP上でis_agentic_get_reportなどのツールを公開。npx skills add vercel-labs/is-agenticでエージェントスキルとして導入できる。
サイト自体もスコアリング対象の設計を実践しており、レポートページは初期HTMLにスコアを含んだ状態でレンダリングされ、Accept: text/markdownヘッダに応じてMarkdown形式でも返却される。Vary: Acceptの設定により、共有キャッシュが表現形式を混在させることもない。
注意点
Vercel自身が明言しているとおり、Is Agenticは認証、セキュリティ監査、アクセシビリティレビューではない。あくまでエージェント対応度に特化した技術的な優先度付きレビューであり、セキュリティホールの検出やWCAG準拠の評価とは目的が異なる。また、スキャンは公開URLに対して行われるため、ログイン後のコンテンツや認証が必要なエンドポイントは評価対象外となる点にも留意が必要だ。
詳細はVercel Introduces 'Is Agentic', a Free Agent-Readiness Scoring Tool That Audits Public Websites Using Ora's 100+ Checksを参照していただきたい。