8月21日、SiliconAngleが「AI data center builder Nscale reportedly seeking $3B IPO」と題した記事を公開した。AIデータセンター建設・運営企業のNscale Global Holdings Ltd.が契約済み総収益510億ドルという驚異的な数字を背景に、最大30億ドルの新規株式公開(IPO)を計画しているという内容だ。ノルウェー発のスタートアップとして昨年初のデータセンターを開設したばかりの同社が、わずか数年でMicrosoftやNvidiaを顧客・出資者に持つ巨大インフラ企業へと急成長した経緯は、現在のAIデータセンター市場が持つ熱量を象徴している。
30億ドルIPO、最短来月にも実施か
Bloombergが複数の関係者を情報源として報じたところによると、ロンドンに本社を置くNscaleは米国の証券取引所への上場を目指しており、主幹事にはゴールドマン・サックスとJPモルガン・チェースを起用した。上場時期は早ければ来月(9月)になる可能性もある。
NscaleはこのIPOで目指す評価額を明示していないが、直近の調達ラウンドでは評価額146億ドルが付いていた。今年3月に実施されたそのラウンドには、NvidiaやNokiaといった著名企業も参加している。
グローバルなAIデータセンター市場は今後数年で急拡大が見込まれており、主要クラウドプロバイダー各社による設備投資競争が激化している。Nscaleはこの波に乗るかたちで急成長を遂げており、ノルウェーで最初のデータセンターを開設した昨年から現在まで、わずか1年余りで世界十数カ所へと拠点を拡大した。
マイクロソフトと巨額契約、バックボーンはNvidiaの最新GPU
Nscaleの事業規模を理解するうえで、顧客との契約総額が目安になる。Bloombergによれば、同社の契約済み総収益は約510億ドルに達する。
最大の顧客はMicrosoftだ。今年3月、MicrosoftはウェストバージニアのNscaleデータセンターキャンパスから1.35ギガワットの処理容量を発注した。このキャンパスは2,250エーカー(約910ヘクタール)という広大な敷地に建設中で、最大8ギガワット超の計算能力を理論上収容できるとされる。独自の電力網と自家発電設備を備える点も特徴だ。
処理能力の供給には、Nvidiaの次世代GPU「Vera Rubin」アーキテクチャを採用したNVL72システムが使われる。NVL72は1ラックあたり72基のRubin GPUを搭載する構成であり、現行世代のBlackwell Ultraの後継にあたる最新アーキテクチャだ。さらに、別途4拠点でBlackwell Ultra GPU 30万基をMicrosoftのために稼働させる予定で、こちらは総額140億ドル相当のインフラ契約の一環とされている。
データセンターだけでなく、ソフトウェアにも注力
Nscaleはハードウェアの提供にとどまらず、クラウドサービスも展開している。KubernetesやSlurm(分散コンピューティング向けのジョブスケジューラ)のマネージド版を提供し、AIワークロードのインフラ使用効率を改善する。また、モデルの応答品質向上を支援するプロンプトエンジニアリングツールも提供している。
さらに、AIインフラ最適化スタートアップのAnyscaleを16.5億ドルで買収した。Anyscaleは、AIクラスターの最適化に使われるオープンソースフレームワーク「Ray」の商用版を提供する企業だ。商用版はRayの操作性を高め、可観測性(オブザーバビリティ)機能を追加している。なお、この買収の時期について元記事には具体的な月の記載がないため、正確な時期は元記事を直接確認していただきたい。
競合SwitchもIPOへ、AI投資熱が続く
Nscaleだけでなく、競合のSwitch Inc.も今月初め、評価額500億ドル規模のIPOを目指して機密ベースの申請を行ったと報じられている。AIインフラへの投資熱がIPO市場にも波及している構図だ。
Nscaleは現在、世界十数カ所でAIインフラを建設中であり、データセンター容量を現在の831メガワットから約11ギガワットへと拡大する計画を持つ。ノルウェーで最初のデータセンターを開設したのは昨年のことで、急速な規模拡大を続けている。510億ドルという契約済み収益の積み上げとIPO計画は、同社がインフラ事業者としての地位を早期に固めようとしていることの表れといえる。
詳細はAI data center builder Nscale reportedly seeking $3B IPOを参照していただきたい。