8月22日、Techstrong.AIが「New York Overtakes San Francisco as Top North American Tech Hub Driven by AI Hiring Boom: Study」と題した記事を公開した。商業不動産サービス大手CBREの年次レポートをもとに、ニューヨーク市が北米最大のテックハブとしてサンフランシスコ・ベイエリアを調査13年の歴史で初めて上回ったことを報じている。AI専門職は北米全体で45%増、75万1,000人規模に拡大——その数字が示す地殻変動は、エンジニアのキャリア地図を塗り替えつつある。
NYがSFを抜いた——13年間の調査史上初
CBREが発表した年次レポートによると、ニューヨーク市の技術系就業者数は39万4,300人に達し、ベイエリアの37万5,730人をわずかに上回った。同レポートは米国とカナダの75都市圏を対象に毎年分析を行っているが、ニューヨークが首位に立つのは13年の調査史上一度もなかった、まさに初めての出来事だ。
なお、CBREは全米・全世界で商業不動産の取引・調査を手がける業界最大手のひとつであり、同社のテック市場レポートは採用動向・オフィス需要・都市間競争力を横断的に分析する資料として、業界内で広く参照されている。
この逆転の背景には2つの要因がある。ひとつはカリフォルニア州のテック企業による大規模レイオフ、もうひとつはニューヨークの金融セクターによるソフトウェアエンジニア・AIスペシャリストの積極的な採用だ。ウォール街の金融機関がAI人材獲得に本腰を入れた結果、都市全体の技術者数が膨らんだ形となる。
AI専門職は北米全体で45%増、75万1,000人規模に
ベイエリアとニューヨークの2都市だけで、過去1年間に2万件超のAI関連雇用を新たに生み出している。北米全体では、AIの専門職ポジションが45%増となり、2026年半ば時点で75万1,000人規模に拡大した(新規創出と既存職種のAI職への転換を合算した数字)。
米国内の求人に占めるAI関連ポジションの割合はすでに約3分の1に達している。ただし、その分布には強い偏りがある。**ベイエリア・ニューヨーク・シアトル・ワシントンD.C.の4都市圏だけで、米国全体のAI求人の37%を占める。カナダではさらに集中が進んでおり、トロント・モントリオール・バンクーバーの3都市が国内AI雇用の60%**を握る。
「AI人材はどこにでも住める」ような印象があるものの、実際には特定の都市圏への集積が加速している。
SFのAI覇権は健在——オフィス賃貸の58%がAI企業
総合的なテックハブ首位の座はニューヨークに譲ったものの、AI分野の中心地としてのベイエリアの地位は揺るいでいない。サンフランシスコ市内で2026年上半期に成立した商業オフィスの新規賃貸契約のうち、58%がAI企業によるものだ。2023年以降のAI企業のオフィス賃貸面積は累計で約1,000万平方フィート(約93万平方メートル)に達した。
ベイエリア以外では、マンハッタン・ボストン・シアトルでAI関連のオフィス賃貸が活発に動いている。
リモートワークとは逆行するAI業界の出社文化
パンデミック後に多くのテック企業がリモートワークを定着させた一方で、AI業界は対照的な方向へ進んでいる。CBREのレポートは、AIスタートアップのチームは週5〜6日の対面勤務が当たり前になっていると指摘する。密なコラボレーションが技術開発の前提になっているためだ。
これはオフィス市場にとって追い風となっている。「AIの台頭が自動化を促進し、オフィス需要は縮小する」という見方は今のところ外れており、むしろAI開発が新たな職種を生み出し、オフィス需要を押し上げている。
AIエンジニアの採用市場が急拡大するなか、どの都市でキャリアを積むかは職種選択と同じくらい重要な変数になりつつある。特定の都市圏への求人集中が続く現状は、転職・就職を検討するエンジニアにとって無視できないデータだ。
詳細はNew York Overtakes San Francisco as Top North American Tech Hub Driven by AI Hiring Boom: Studyを参照していただきたい。