8月20日、CNBCが「OpenAI 'will be a public company in 2027' or sooner, CFO Friar tells employees」と題した記事を公開した。OpenAIのCFO、Sarah Friarが全社員向けミーティングで2027年のIPOを明言したこの発言は、評価額8,520億ドルという重圧を抱えながら競合Anthropicとのタイミング競争に直面するOpenAIの現在地を映し出している。AIトップ企業のIPOレースが急速に具体化しつつある今、その内容は業界全体にとって注目すべきシグナルだ。
CFOが全社員に「2027年上場」を直接宣言
OpenAIのCFO、Sarah Friarは8月20日(現地時間)に開催された全社員ミーティング(オールハンズ)において、OpenAIが「2027年に上場する」と社員に直接伝えた。ただし「ビジネスの成長が続けば、それより早くなる可能性もある」とも述べており、状況次第では2026年中の上場も排除していない。
Friarの発言は、ミーティングの内容を知る2名の匿名情報源によってCNBCに伝えられた。
Sarah Friarは、Nextdoorの元CEOであり、Square(現Block)の元CFOでもある。財務・経営の両面で大型テック企業を率いてきた実績を持つ人物であり、その発言は単なる広報メッセージにとどまらず、具体的な財務戦略の裏付けがある発言として受け止められる。
「IPOはゴールではなく、マイルストーン」——資金調達余力が与える余裕
Friarはミーティングで上場の位置づけをこう説明した。
「IPOはゴールではなく、マイルストーンであり、もう一度の資金調達だ。3月に1,220億ドルを調達しており、それが柔軟性を与えてくれている」
1,220億ドル(約18兆円)の調達額は、OpenAIが2026年3月に完了したラウンドを指す。これだけの手元資金があるため、IPOを急ぐ必要はないという立場を明確に示したかたちだ。一方で「2027年またはそれ以前」という具体的な時間軸を全社員に提示したことは、上場に向けた準備が相当程度進んでいることを示唆している。
競合Anthropicの先行と「自分たちのレースを走る」発言
注目すべきは、競合Anthropicへの言及だ。OpenAIは2026年6月にIPO目論見書(S-1)をSECへ秘密裏に提出(confidential filing)しており、Anthropicも同月に同様の手続きを行っている。
秘密提出(confidential filing)とは、SECの制度上、一定の条件を満たす企業が目論見書の内容を一般公開せずに審査を受けられる仕組みである。通常は上場の数週間前に内容が公開されるのが慣例で、OpenAI・Anthropicともにこの審査段階にある。
Anthropicはすでに投資家との初期ミーティングを始めており、9月にも目論見書の開示・上場に踏み切る可能性があるとCNBCは報じている。Friarはこの状況を社員に率直に説明した上で、こう述べた。
「Anthropicが数週間以内に秘密提出のカバーを外して9月に上場するかもしれない。それで構わない。私たちは自分たちのレースを走っている」
この発言は、Anthropicに先行上場される可能性を社員が知ることで生じうる動揺を和らげる意図があったとみられる。「Anthropicより先かどうか」ではなく、OpenAI自身の事業進捗と財務準備のタイミングに従うという姿勢を示したものだ。
8,520億ドルという評価額の重圧と開示へのプレッシャー
OpenAIは現在、8,520億ドルという評価額を正当化しながらIPOに臨む必要がある。なお本記事中の円換算表記(約125兆円)は執筆時点のレートに基づくものであり、実際のIPO時点での評価額は市場環境によって変動しうる点に留意されたい。
これだけの評価額を掲げる以上、投資家は詳細な財務データの開示を強く求めており、上場前の情報開示に対するプレッシャーは高まっている。OpenAIはこれまで非上場企業として財務情報の公開を限定的に抑えてきたが、IPOプロセスに入ることで収益構造・コスト・成長見通しが広く精査される局面を迎える。
Friarが全社員に向けて発言したという事実そのものが、組織内の情報共有と士気維持を重視する姿勢の表れでもある。財務トップが直接タイムラインを伝えるのは異例であり、OpenAIが今まさに上場を現実の選択肢として動かし始めていることを裏付けている。
詳細はOpenAI 'will be a public company in 2027' or sooner, CFO Friar tells employeesを参照していただきたい。