8月19日、Exponential Viewが「🫧 Is AI a bubble yet? Our five gauges say no」と題した記事を公開した。AIへの投資がバブルかどうかを5つの指標で分析し、現時点では「バブルではない」と結論づけている。
5つのゲージで見るAI投資の現在地
AIバブル論争は2023年ごろから繰り返し浮上しているが、Exponential Viewはその問いに対して「感覚論」ではなくダッシュボード形式の定量指標で答えようとしている。
記事が用いる5つのゲージは、それぞれ異なる角度からAI投資の健全性を測定するものだ。
- AI収益 vs. インフラ支出(Capex):需要が投資を正当化しているかを見る収益対比指標
- 資金調達の質:ハイパースケーラーの調達手法が健全かどうかを評価する指標
- 公開市場のバリュエーション:半導体株など上場銘柄の過熱感を測る市場指標
- 民間市場の投資動向:スタートアップへのベンチャー投資の質と量を評価する指標
- マクロ・金融ストレス:金利・信用環境など経済全体の耐性を見る指標
これら5つのゲージの現状評価は以下のとおりだ。
- レッド(警戒):0個
- アンバー(注意):2個
- グリーン(健全):3個
判定はあくまで「ブーム(boom)」であり、「バブル(bubble)」ではないとしている。
収益がインフラ投資の伸びを上回っている
記事が強調する最大のポイントは、需要が支出を正当化しているという構図だ。
直近12ヶ月(2025年7月時点)のAI関連収益は1,260億ドルに達しており、データセンター建設などのインフラ投資(capex)の増加を上回る速度で伸びている。これがバブル判定を退ける最も強い根拠となっている。
一般的なバブルの定義の一つは「収益の裏付けなき資産価格の膨張」だが、現時点ではAIの収益成長がその批判を退けている格好だ。
供給制約と資金調達の複雑化
一方で、懸念材料も積み上がっている。
AIの旺盛な需要はコンピュート(GPU等の計算インフラ)の供給逼迫に直面しており、それを解消するためにインフラ投資が急拡大している。
その資金調達の手法も複雑化している。Google・Microsoft・Amazonなどのハイパースケーラー(大規模クラウド事業者)は手元資金だけでなく、負債、リース契約、複雑な金融スキームを組み合わせて世界中から資本をかき集めている状態だ。
ニュースレター「Gaming the System」を執筆したMichael Parekhは、この動きを「収益が複利で成長している限りは合理的であり、必要でさえある」と評価する。ただし、収益の成長が鈍化すれば、この構造は脆くなるとも警告している。
記事はベースケースの予測として、資金調達の質は近い将来に劣化し始める可能性に言及しており、2027年中にはアンバーから一部レッドに転じると見込んでいる。これはバブル崩壊の予測ではなく、あくまでゲージの警戒レベルが段階的に上昇するというシナリオだ。
半導体株の調整は「冷却」をもたらした
今回の更新でもう一点触れられているのが、市場の荒れとそれに伴う半導体株の急落だ。エヌビディア(NVIDIA)を筆頭とする半導体銘柄の急激な下落は公開市場の過熱感をある程度冷やしたと記事は評価しており、これがゲージの一部にとってはむしろポジティブな材料となっている可能性がある。
なお、記事はAI capexの集計手法も今回改善しており、「公表ベース」と「修正ベース」の2系列を併記する形に変更している。数値の透明性を高める意図とみられる。
2027年が試金石
現時点での結論は「バブルではない」だが、記事が示す時間軸は重要だ。2027年が一つの分岐点として位置づけられており、そこに向けて資金調達の質と経済的なストレスがどう動くかが焦点となる。
収益成長が続く限り現在の構造は機能するが、それが失速した瞬間に複雑な金融スキームが逆回転するリスクがある、というのが記事の核心的なメッセージだ。
詳細は🫧 Is AI a bubble yet? Our five gauges say noを参照していただきたい。