8月20日、TechSpotが「Pew survey: 52% of Americans now more concerned than excited about AI」と題した記事を公開した。Pew Research Centerの最新調査によれば、AIに対して「期待より懸念の方が大きい」と答えた米国成人が52%に達し、若年層を中心に懐疑的な見方が急速に広がっている。2021年からわずか5年で15ポイント上昇したこの数字は、ChatGPT登場以降の生成AIブームが必ずしも社会的信頼の向上につながっていないことを示している。
「期待より懸念」が52%に急増——2021年比で15ポイント増
Pew Research Centerが2026年6月22〜28日に米国成人を対象に実施した調査によれば、AIの日常生活への普及に対して「期待より懸念の方が大きい」と答えた割合は52%に達した。この質問を初めて実施した2021年時点では37%だったため、5年間で15ポイント上昇した計算になる。
逆に「期待の方が大きい」と答えた割合は、2021年の18%から2026年には**9%へと半減している。「懸念と期待が同程度」と答えた層は37%**だった。
AIが急速に社会実装される中で、世論がこれほど明確に反転したのは見逃せない変化だ。ChatGPTが登場した2022年末以降、生成AIへの関心は爆発的に高まった一方、雇用・著作権・プライバシーをめぐる問題が相次いで表面化してきた時期とも重なる。欧州ではEU AI Actが2024年に成立し、規制の枠組みづくりが先行しているが、米国では連邦レベルの包括的なAI規制法はいまだ整備されておらず、こうした政策的な不確実性も世論の不安を増幅させている可能性がある。
なお、Pew Research Centerは米国の非営利調査機関で、世論・社会動向・テクノロジーへの意識などを定期的に調査・発表している。今回の数値はその最新版にあたる。
雇用喪失への懸念は全世代に広がる
懸念の中心にあるのは仕事を奪われることへの不安だ。今回の調査では、71%のアメリカ人が「AIは今後20年間で人間の雇用を減らす」と回答した。2年前の同調査では64%だったため、こちらも7ポイント上昇している。
「AIが雇用を増やす」と楽観視している回答者はわずか**5%**にとどまった。
また、年齢層による差も縮まっていることが注目される。以前は若年層ほどAIに好意的という傾向があったが、今回の調査では雇用喪失への懸念は全世代に広がっており、年齢がこの問いの答えを左右しなくなってきている。かつてデジタルネイティブとしてテクノロジー受容度が高いとされてきた若年層が、むしろAIに対して強い警戒感を示している点は、業界にとって重要なシグナルといえる。
若年層固有の懸念:創造性・思考力・人間関係への影響
雇用の問題とは別に、若年層には独自の懸念がある。Pewが2025年9月に実施した別の調査では、若い成人の**61%が「AIは自分の創造的思考力を損なう可能性がある」と答え、43%**が「問題解決能力をより困難にする」と感じていた。
人間関係の構築にも影響が出るとの懸念も示されており、AIが認知能力や社会性の発達に与える影響への不安は、若年層が複数の調査を通じて一貫して示している傾向だ。こうした「能力の外部委託」への警戒感は、単なる雇用不安とは異なるレイヤーで若い世代のAI観を形成していると見られる。
業界・政策立案者への問いかけ
調査の数字が示すのは、技術の普及速度と社会的な信頼の醸成が釣り合っていないという現実だ。AIへの懸念が過半数を超えた今、この世論の変化に対して業界・政策立案者がどう応答するかが問われている。
主要AI企業の中には、透明性向上や安全性確保に向けた自主的な取り組みを公表しているところもある。OpenAIは安全性に関するレポートを公開し、GoogleもResponsible AIの指針を示している。しかし、こうした企業側の発信が世論の懸念を和らげるに至っていないことは、今回の調査結果が明確に示している。
技術的なリテラシー教育の普及や、AIが雇用に与える影響に対するセーフティネットの整備など、社会インフラ側の対応が追いついていないことも、懸念拡大の背景として無視できない。特に若年層の懸念が雇用のみならず認知・創造性にまで及んでいる点は、教育機関や政策立案者にとっても直視すべきデータだろう。
詳細はPew survey: 52% of Americans now more concerned than excited about AIを参照していただきたい。