8月19日、Los Angeles Timesが「Anthropic's $65-billion revenue surge turbocharges IPO race with OpenAI」と題した記事を公開した。AnthropicのARR(年換算収益)が650億ドル(約9.7兆円)を超え、評価額・収益規模の両面でOpenAIを急速に追い上げる状況が詳報されている。
設立の経緯:OpenAI出身者が立ち上げたライバル
Anthropicは2021年、OpenAIの元幹部であったDario Amodei(現CEO)とDaniela Amodei(現社長)が中心となり設立したAIセーフティ企業だ。当初はOpenAIの元スタッフが主導する「小規模な安全重視の研究機関」として出発したが、ChatGPTブームとAIスケーリング競争の激化を追い風に急成長を遂げた。GoogleやAmazonから多額の戦略的投資を受け、潤沢な資本を背景に大規模言語モデル「Claude」シリーズを展開してきた経緯がある。
7カ月で7倍超:桁違いの収益加速
Anthropicの年換算収益(ランレート)が2025年末時点の90億ドルから、2026年7月末には650億ドル超へと7倍以上に拡大した。この数字はAnthropicが投資家への定期報告の中で共有したもので、Bloomberg経由で明らかになった。
なお、ランレートとは直近の短期間(月次や四半期)の収益を年換算に引き伸ばした推計指標であり、急成長期の企業の勢いを測る際に広く用いられる。厳密な通期予測ではなく、現在のペースが続いた場合の推計値である点は留意が必要だ。
直近の四半期(確定値)でも単独四半期の売上が115億ドル超を記録。前年同期の7億8700万ドルと比較すると約15倍の水準だ。さらに同四半期は調整後営業利益がプラスに転じたことも明らかになっており、規模拡大に伴ってユニットエコノミクスが改善しつつあることを示している。
比較対象として、OpenAIのランレートは直近で400億ドル超とBloombergが報じており、AnthropicはOpenAIとの差を急速に縮め、一部指標では逆転した格好だ。ただし両社が同じ計算方式でランレートを算出しているかは不明であると記事は注記している。
評価額でもOpenAIを上回る
収益面だけでなく、企業価値(バリュエーション)の面でもAnthropicはOpenAIを上回った。同社の評価額は2026年5月の資金調達ラウンドで9650億ドルに達し、OpenAIの評価額を初めて超えた格好だ。かつてAI競争の「挑戦者」と見られていたAnthropicが、資本市場においてもトップ争いに名乗りを上げた形である。
IPOレース:Anthropicが秋のデビューを狙う
Anthropicはすでに非公開での上場申請(コンフィデンシャルS-1)を完了しており、主幹事にはMorgan Stanley、Goldman Sachs、JPMorgan Chaseの3行が名を連ねる。上場は2026年秋を目標としており、OpenAIより先のデビューを狙っている。
IPO競争には第三の軸もある。中国のAIスタートアップDeepSeekも今年中の上場申請を検討中とされており、Anthropicとしては西側市場での先行上場によって資金調達と知名度を確保したい思惑がある。
AIスケーリング競争の文脈では、各社が次世代モデルの訓練インフラに数千億ドル規模を投じており、公開市場へのアクセスは継続的な競争力維持に直結する。PrivateラウンドだけではなくIPOによる「潤沢かつ継続的な資金調達能力」の確保が、長期的なモデル開発競争において重要な位置を占めると記事は指摘している。
収益急拡大を牽引した製品
Anthropicの主力製品であるClaudeが、コーディング支援など複雑なタスクへの採用を急速に伸ばし、今回の収益急拡大を牽引したと記事は伝えている。
なお、元記事では「Fable」も製品として言及されているが、Anthropicの公式製品ページにおける位置づけの詳細は確認が難しい。元記事の記述をそのまま引用する形で紹介するにとどめ、公式情報は随時確認することを推奨する。
まとめ
AnthropicはOpenAIの元幹部が安全性重視を掲げて設立した企業でありながら、今やARR・評価額の双方でOpenAIを上回る水準に達した。AIスケーリング競争が激化する中、秋のIPOを通じて公開市場から資金を確保し、モデル開発の継続的な優位性を維持できるかが次の焦点となる。
詳細はAnthropic's $65-billion revenue surge turbocharges IPO race with OpenAIを参照していただきたい。