8月14日、Futurum Researchが「Cisco Q4 FY 2026 Earnings Point to Broader AI Infrastructure Demand」と題した記事を公開した。この記事では、CiscoのFY2026第4四半期決算が示すAIインフラ需要の広がりと、同社のネットワーク事業における成長の実態について詳しく紹介されている。
AIインフラ需要がハイパースケーラーを超えて広がる
AIインフラへの投資といえばGoogleやAmazon、Microsoftなどの大手クラウド事業者(ハイパースケーラー)が主役というイメージが強い。だがCiscoの決算は、その構図が変わりつつあることを示している。
Ciscoは2026年8月14日(現地時間)、FY2026第4四半期(Q4 FY2026)の決算を発表した。売上高は172億5000万ドル、前年同期比18%増で、ウォール街のコンセンサス予想(168億5000万ドル)を上回った。製品売上高は前年同期比24%増の134億6000万ドル、非GAAPベースの営業利益率は35.9%(前年同期34.4%)と過去最高水準を記録した。なお、FY2026通期の売上高は約599億ドルで着地しており、純利益はGAAP基準で約75億ドルとなった。
注目すべきはAIインフラ受注の構成だ。Q4単独でハイパースケーラーからのAIインフラ受注が40億ドルに達し、FY2026通期では93億ドルとなった。その内訳は、Ciscoが独自開発するネットワークチップ「Silicon One」ベースのシステムが約60%、光トランシーバーが約40%だ。部品の供給にとどまらず、ネットワークシステム全体での受注が増えている。
さらに重要なのは、受注が大手クラウド以外にも広がっている点だ。ネオクラウド(新興クラウド事業者)、各国の独自クラウド基盤(ソブリンクラウド)、一般企業からのAIインフラ受注がQ4だけで4億ドル超、FY2026通期では10億ドル超に達した。エンタープライズ向けNexusスイッチのうちAI用途向けの受注は前四半期比で85%超増加しており、オンプレミスのプライベートAI基盤への投資が本格化していることを裏付けている。
ネットワーク更新サイクルが全域で加速
ネットワーク製品全体の受注は前年同期比40%増で、これで8四半期連続の2桁成長となった。カテゴリ別に見ると、データセンターネットワークが35%超増、キャンパスネットワーク(オフィスや構内の有線LAN)が20%増、Wi-Fi 7対応機器がワイヤレス受注全体の50%超を占めるなど、全域で需要が旺盛だ。
光インターコネクト子会社のAcacia(高速光トランシーバーを手掛けるCisco傘下の企業で、2021年に買収)はQ4だけで10億ドル超の受注を獲得。Ciscoは400Gbps対応のコヒーレント光トランシーバーを累計85万個超、800Gbps対応を7万5000個超出荷済みだという。データセンター間を結ぶ高速光回線の需要がいかに急増しているかがわかる数字だ。
更新需要が一斉に押し寄せている背景には、AIワークロードへの対応だけでなく、サポート終了機器の入れ替え、セキュリティ強化、量子コンピュータに備えた耐量子暗号への移行計画など、複数の要因が重なっている。
セキュリティ部門:SplunkとHypershieldが牽引
セキュリティ売上高は前年同期比14%増の22億3000万ドル。Splunk(2024年に約280億ドルで買収した運用インテリジェンス企業。ログ分析やSIEM領域で広く使われるプラットフォームを持つ)の貢献に加え、ファイアウォール受注が2四半期連続で30%超増を記録した。
Cisco Secure Access、XDR(拡張型脅威検知・対応)、Hypershield、AI Defenseといった新製品群の純新規顧客数はローンチ以来累計6400社超に達し、Q4だけで1500社以上が加わった。Splunkも四半期で280社の新規顧客を獲得し、年間1000社という目標を達成した。
AIエージェントが企業内で増殖するにつれ、人間以外のIDを管理するノンヒューマンID(非人間ID)のセキュリティが新たな課題として浮上している。Ciscoが買収したAstrix Securityはこの領域に特化したスタートアップだ。
FY2027ガイダンス:コア事業も10%成長を見込む
Q1 FY2027(2026年秋)の売上高ガイダンスは180億〜182億ドル、FY2027通期では722億〜734億ドルを見込む。ハイパースケーラー向けAIインフラ売上高はFY2026の約40億ドルからFY2027には75億ドルへと拡大する見通しだ。
特筆すべきは、ハイパースケーラー向けAI収益を除いたコアビジネスも約10%成長を見込んでいる点だ。エンタープライズ向けリフレッシュ需要やセキュリティが下支えしており、特定顧客への依存度は低い。一方で、ハードウェア比率の上昇やメモリコストの高騰が製品粗利率を圧迫するリスクも指摘されており、営業レバレッジをどこまで効かせられるかが焦点となる。
詳細はCisco Q4 FY 2026 Earnings Point to Broader AI Infrastructure Demandを参照していただきたい。