8月14日、Yaron Schoenが「Claude Code 101, for Designers」と題した記事を公開した。デザイナーがClaude Codeを使いこなすために必要な専門用語を平易に解説した入門ガイドで、シリーズの第1回にあたる。
Yaron Schoenはプロダクトデザイナーだ。父親がNYUのコンピュータサイエンス教授でAIを早期から研究していたという背景を持ち、MS-DOSを使って育った。コーディングの専門家ではないが、技術的な素地はある。そんな彼が「今はデザイナーにとって黄金時代だ」と断言し、エンジニア不在で自分でツールをビルドして公開した経験を踏まえ、デザイナー向けのClaude Code入門シリーズを始めた。
この第1回の目的はシンプルだ。インストールも課題もなし。飛び交う専門用語を短く定義することだけを目標にしている。
セッション管理とCLAUDE.mdが実用の核心
この記事の中で最も実践的な洞察は、コンテキストウィンドウの管理方法とCLAUDE.mdの活用にある。
Claude(LLM)の「短期記憶」にあたるのがコンテキストだ。会話で交わしたすべてのやり取り、読み込んだファイル、書いたコードがこの領域に蓄積される。単位はトークン(単語をさらに細かく切った断片、音節1〜2個程度)で、容量は有限だ。コンテキストが埋まると、Claudeは古い情報を要約して圧縮し始める。その結果、長い会話の終盤では「話の始まりを忘れる」ような現象が起き、誤りやハルシネーション(事実と異なる内容を生成すること)が増える。
Schoenの対策は明快だ。
- 頻繁に新しいセッションを開始する(
/contextコマンドでコンテキストの使用量を確認できる) - プロジェクトが大規模な場合は、Claudeに
PLAN.mdを生成させ、新セッションの冒頭で読み込ませることで前回の作業を引き継ぐ
CLAUDE.mdは、プロジェクトフォルダに置くテキストファイルで、Claudeがセッション開始時に毎回読み込む「常設ブリーフィング」だ。ルール、好み、繰り返し説明するのが煩わしいことをここに書いておく。Schoen自身は「ダッシュ(—)の使用禁止」を明記しているという。
用語集:飛び交うワードの実態
記事の構成はほぼ用語解説だが、デザイナー視点の例えが的確で実用的だ。主要なものを整理する。
Claude Code
Claudeと同じAIだが、ユーザーのコンピュータ上でファイルの作成・編集・実行ができる。チャット版のClaudeが「プロトタイプを説明する」程度なら、Claude Codeは「アプリ全体を作る」。コードを書くだけでなく、500ファイルのリネームや画像のリサイズ、ケーススタディの執筆もできる。
モデル(Haiku / Sonnet / Opus)
Claudeはモデルファミリーで構成される。大きいモデルほど深く考えるが遅くコストも高い。逆説的だが、小さいモデルで複雑なタスクを処理すると、大きいモデルより高くつく場合がある。処理に長時間かかるからだ。
Git / GitHub
Gitはプロジェクトフォルダのバージョン履歴。Figmaのバージョン履歴のフォルダ全体版と理解すれば早い。GitHubはその履歴をチームで共有するためのウェブサービスだ。Schoenは「今はGitHub Desktopを使わず、Claudeに全部やらせている」と述べている。
承認モード
デフォルトではClaude Codeはファイルを変更するたびに確認を求める。Autoモードはすべてを自動承認し、Planモードは実行前にプランを提案して承認を待つ。Schoen自身は常にAutoモードで、Planモードは使わない。「計画を議論したいときは、コードを書かないよう口頭で指示する」というスタイルだ。
MCPとエージェント
MCP(Model Context Protocol)は、ClaudeをFigmaやデータベース、カレンダーなど外部ツールに接続するための規格だ。記事では「USB規格のようなもの」と表現されている。「そのMCPがある」は「そのプラグがある」という意味だ。
エージェントは、メインの会話を続けながら別のタスクを並行処理させるためにClaude自身のコピーを派遣する仕組みだ。各エージェントが独立したコンテキストウィンドウを持つため、メインのコンテキストを節約できる副次効果もある。
ターミナルが前提、でも必須ではない
Claude Codeはターミナル(コマンドライン)上で動作し、起動したフォルダをワークスペースとして扱う。ただし、ターミナルが苦手ならVS Codeのような統合開発環境に内蔵のターミナルを使えばよい。
また、Claudeはシングルプレイヤーだ。Figmaのようなリアルタイム共同編集とは対極にあり、自分のマシン上で自分だけが使う。チームでの共有にはGitとGitHubを使う。
実際に試すために必要なこと
※編集部の考察:記事ではインストール手順は次回以降に委ねているが、Claude Codeを試すにはAnthropicアカウントの作成とAPI利用料(従量課金)が必要になる。料金はモデルと使用トークン量によって変動するため、公式の料金ページで事前に確認しておくとよい。デザイナーが日常的に使う用途であれば、まずSonnetモデルを試すのが現実的な出発点になるだろう。
シリーズの次回はターミナルの解説、その次でClaude Codeを実際にインストールして何かを作る予定だという。
詳細はClaude Code 101, for Designersを参照していただきたい。