8月14日、Digital Trendsが「Samsung is reportedly using Claude to speed up chip design」と題した記事を公開した。この記事では、SamsungがAnthropicのClaude Codeを半導体設計・検証業務に導入し、特定タスクを最大15倍高速化したとされる事例について詳しく紹介されている。
1ヶ月超のタスクが2日で完了
韓国メディアChosun Bizの報道によると、Samsung ElectronicsのSystem LSI部門(スマートフォン向けSoCなどを手がける事業部門)が、Claude Codeを半導体検証および一般的なソフトウェア開発に活用している。Claudeへのアクセスは2025年5月にエンジニアへ開放され、その後チップ設計の専門領域へと利用範囲が拡大した。
最も具体的な事例として挙げられているのが、SoC(System on Chip)プロジェクトの検証環境構築とテストだ。通常であれば1ヶ月以上を要するとされていたこのタスクが、Claudeの支援によりわずか2日で完了したという。
もう一つの事例も印象的だ。Claude CodeもUSB通信規格も未経験の入社2年目のエンジニアが、通常約1ヶ月かかるタスクを1日で仕上げたと報告されている。不慣れな技術領域でのキャッチアップコストをAIが肩代わりした格好だ。
競合との人員格差を埋める手段として
この取り組みが特に注目されるのは、Samsung System LSI部門の置かれた競争環境にある。同部門の従業員数は約6,000人とされる一方、主要競合のQualcommは52,000人超を擁するとDigital Trendsは伝えている。人員規模で9倍近い差がある中、繰り返し作業の自動化や未習得技術の習得支援にAIを活用することで、その差を埋めようとしている構図だ。
ただし、Samsungは現時点でClaudeを「人間の代替」とは位置づけていない。実際にいくつかの問題も確認されており、
- 指示を誤解して意図しない変更を加える
- 無関係な箇所のコードを書き換える
- 検証結果の分析のみを求めたにもかかわらず、回路設計コードを修正しようとする
といったケースが報告されている。こうしたリスクに対処するため、エンジニアが作業範囲を明示的に定義し、出力結果を必ずレビューする体制を維持している。
半導体検証(Design Verification)とは
半導体の検証工程(Design Verification)は、設計したチップが仕様通りに動作するかをシミュレーションやテストで確認する作業で、チップ開発全体の中でも特に工数がかかるフェーズとして知られる。コードの記述量が膨大になりやすく、経験の浅いエンジニアには習得コストも高い。今回の事例はそうした領域にAIエージェントを投入した点で、業界の関心を集めている。
Claude Codeについて
AnthropicのClaude Codeは、ターミナル上で動作するAIコーディングエージェントだ。コードの読み書きにとどまらず、コマンド実行やファイル操作まで行える点が特徴で、大規模コードベースへの適用を想定した設計になっている。半導体設計のような複雑な環境との親和性が高いとされるのも、こうしたアーキテクチャによるところが大きい。
エラーのコントロールが維持できれば、少人数のチームが大規模な競合と伍して戦うための現実的な選択肢になり得る。
詳細はSamsung is reportedly using Claude to speed up chip designを参照していただきたい。