8月15日、Matthias Bastianが「Alibaba's Qwen team releases Qwen 3.8 models with open weights under the Apache 2.0 license」と題した記事を公開した。AlibabaのQwenチームがApache 2.0ライセンスのもとでQwen 3.8シリーズのモデルウェイトを公開した。同ライセンスは商用利用・改変・再配布を広く認めるもので、企業が自社製品へ組み込む際の法的ハードルが低い。オープンウェイトの大規模マルチモーダルモデルにApache 2.0が適用されるケースはまだ少なく、今回のリリースはライセンス面からも注目に値する。
Apache 2.0が意味すること
今回のリリースで最も実務的なインパクトを持つのがApache 2.0ライセンスの採用だ。商用利用・改変・再配布が自由に行えるため、企業がプロプライエタリな製品にモデルを組み込む際の制約が少ない。
比較対象としてよく挙がるMetaのLlama 3系モデルは独自のカスタムライセンスを採用しており、月間アクティブユーザー数が7億を超える事業者には追加条項が課されるなど、規模によっては利用に制限が生じる。Apache 2.0にはそうした利用規模に応じた制限条項が存在しない点が、エンタープライズ用途での差別化要素となっている。
中国のAIチームによるオープンウェイト公開は近年加速しており、DeepSeekのR1シリーズやQwenシリーズがその代表格だ。Qwenシリーズは2023年末の初代モデル公開以降、言語・マルチモーダル・コーディング特化など複数の系統を継続的にリリースしてきた。今回のQwen 3.8はそのシリーズ最新世代にあたる。
Apache 2.0で商用利用可能、270億パラメータのマルチモーダルモデル
今回公開されたコアモデルQwen3.8-27Bは、270億パラメータのマルチモーダル密結合モデルだ。Qwenチームによれば、コーディングやオフィス業務のタスクにおいて、より大規模な上位モデルであるQwen3.7-Plusを上回るパフォーマンスを示しているという。
なお、Qwen3.7-PlusはAlibaba Cloudが提供するクローズドAPIモデルであり、ウェイトは非公開だ。今回のQwen3.8-27Bはオープンウェイトでありながらそのクローズドモデルを一部のタスクで上回るという点が、Qwenチームが強調するポイントのひとつとなっている。
特筆すべきはコンテキスト長だ。ネイティブで262,000トークンを処理でき、YaRN(コンテキスト長を外挿によって拡張する手法)を用いることで100万トークンまで拡張可能となっている。長大なドキュメントや複数時間に及ぶ動画の処理を想定した設計だ。
モダリティの面では、テキストに加えて画像・動画を処理できる。図表、ドキュメント、長時間動画への対応が明示されている。また、柔軟な思考モード(Flexible Thinking Mode)がデフォルトで有効になっており、クエリ単位でオン・オフの切り替えが可能だ。
エージェント能力の強化と超大規模モデルの同時公開
Qwenチームはエージェント能力の向上も強調している。モデルがより自律的に計画を立て、タスクを完結させる信頼性が向上したとしている。
今回のリリースにはQwen3.8-27Bに加えて、Qwen3.8-2.4T-A95Bも含まれる。「2.4T」は2.4兆パラメータを意味し、Maxレベルでの運用を想定した超大規模モデルだ。「A95B」はアクティベーションパラメータ数を示す表記であり、Mixture-of-Experts(MoE)アーキテクチャを採用して推論時の計算コストを抑える設計になっている。
両モデルのウェイトはHugging FaceおよびModelScopeで公開されている。また、100万トークンのコンテキストをサポートするホスティング版が、AlibabaのクラウドサービスQwen Cloudを通じて近日中に提供される予定だ。
詳細はAlibaba's Qwen team releases Qwen 3.8 models with open weights under the Apache 2.0 licenseを参照していただきたい。
