8月11日、TechSpotが「Google is testing a new homepage that buries the search button for AI」と題した記事を公開した。Googleが従来の検索ボタンを排除し、AIサービスへの誘導を前面に出した新しいホームページをテストしているというこの報告は、単なるUIの変更にとどまらず、インターネット全体の構造的変化を示唆するものとして注目されている。
検索ボタンが消え、代わりに3つのAI機能が登場
Search Engine Watchが発見したこのテストは、Googleアカウントにサインインしていないユーザーに対して表示される新しいホームページが対象だ。
従来の検索画面にあった「Google 検索」ボタンが削除され、代わりに以下の3つのボタンが配置されている:
- Create images(画像生成)
- Ask about files(ファイルへの質問)
- Brainstorm(ブレインストーミング)
「I'm Feeling Lucky」ボタンは検索ボックス右下に残っている。「Create images」はサインインが必要だが、「Ask about files」と「Brainstorm」はアカウントなしで利用できるとされる。
Ask about filesはファイルをアップロードして内容について質問できるチャットボット的な機能で、Brainstormは検索体験をそのままGeminiのAI Mode(従来の検索結果にGeminiベースのAI回答を統合する実験的機能)へ接続する。なお、サインイン後は従来の検索画面に戻り、AI Modeは「オプション」として表示される形になっていたという。
「テスト」が積み重なるGoogleのAI戦略
Googleは2025年3月にAI Modeを導入し、従来の検索にGeminiベースの機能を統合する実験的機能として発表していた。あわせて、検索結果ページ上部にAIが生成した要約を表示するAI Overviews(旧称:Search Generative Experience)も広く展開されており、これらが組み合わさることでユーザーが元のウェブサイトを訪問しなくなる「ゼロクリック化」が加速しているとの指摘がある。今回のホームページ変更について、Googleからの公式コメントはまだない。
ただ、こうした「限定テスト」は積み重なっている。直近ではChromeでAI Modeをデフォルトにするテストが誤って公開されたケースもあり、TechSpotは「これらの"ミス"は、より大きな変化が来ることの証拠になりつつある」と指摘している。
インターネット全体への影響:dead internet theoryが現実化しつつある
今回のテストが示すのは、Googleホームページの見た目の変化だけではない。TechSpotの記事は、Googleが独占的な市場支配力を利用してウェブ全体をGeminiベースのチャットボット体験に変えようとしているとして批判されており、これはコンテンツクリエイターや独立メディア(TechSpot自身もその一つと明記している)に深刻な影響をもたらしていると指摘する。
記事はこの状況を「dead internet theory(インターネット上のコンテンツの大半がボットや自動生成物になるという仮説)が、Googleによって自己成就的な予言になりつつある」と表現している。Cloudflareも最近、人間がボットに対してノイズレベルになりかねないと警告しており、こうした動きは業界全体の懸念として広がっている。
ユーザーの反応は冷ややか、法的リスクも重なる
Redditの初期反応を見ると、新しいAI検索画面への移行を歓迎する声は少ない。
法的な状況も追い風とは言えない。2024年には米連邦裁判所がGoogleの検索独占を違法と判断(現在控訴中)。また、Rolling StoneやVarietyを傘下に持つPenske Mediaは、AI OverviewsがパブリッシャーのコンテンツをGoogleのAI生成回答に利用しながらトラフィックや広告収益を還元しないとして、Googleを提訴した大手出版社の一つだ。
こうした法的・社会的な逆風が重なる中で、Googleが今回のテストを本格展開するかどうかは現時点では不明だ。ただ、テストが繰り返されているという事実自体が、同社の方向性を示す一つのシグナルであることは確かだろう。
詳細はGoogle is testing a new homepage that buries the search button for AIを参照していただきたい。