8月11日、Futurismが「Amazon's New AI Data Center Is So Enormous That It Appears It Will Become the Largest Single Source of Pollution in the United States」と題した記事を公開した。AmazonがテキサスHウペコス郡に建設予定の巨大AIデータセンター向けガス火力発電所が、稼働すれば米国最大の単一CO2排出源になる見込みであることを報じた内容だ。なお、元記事の見出しには「appears it will become(〜になると見込まれる)」というニュアンスが含まれており、現時点では確定ではなく、あくまで計画・申請段階の見通しであることを前提に読む必要がある。
年間3,300万トン——単一施設として米国最大の排出源へ
Amazon Web Services(AWS)がテキサス州ペコス郡に計画しているAIデータセンターに電力を供給するため、Amazonは大規模なガス火力発電所への投資を正式に確認した。New York Timesの報道によると、この発電所は最大7.65ギガワットの電力を供給する能力を持ち、35基のタービンが稼働した場合、年間3,300万トンのCO2排出が認められる見込みだという。
この数字の規模感を把握するために比較すると、スイス、アイルランド、ブルガリアといった国家全体の年間排出量に匹敵する水準だ。単一施設としては、米国内のあらゆる既存施設を超え、同国最大の排出源となる可能性がある。
テキサス州ペコス郡は米国西テキサスの内陸部に位置し、広大な土地と電力インフラへのアクセスを背景に、近年データセンター立地として注目されている地域だ。今回の発電所はその地域に建設が予定されているものであり、元記事に登場する施設の所在地として読者は認識しておくとよい。
「2040年ネットゼロ」公約との矛盾
Amazonはかつて2040年までにネットゼロ(実質的なCO2排出量ゼロ)を達成するという「Climate Pledge(気候誓約)」を自ら共同設立した企業でもある。Climate Pledgeは2019年にAmazonと持続可能性コンサルタント企業Global Optimismが共同設立した取り組みで、元UNFCCC事務局長のChristiana Figueresらが関与したことでも知られる。パリ協定の目標を10年前倒しにする形で、2040年までのネットゼロ達成を企業に誓約させる枠組みだ。Amazonはこのpledgeの創設者として対外的にも気候対策への積極姿勢を打ち出してきた。今回の計画はその目標と真っ向から対立する。
この点をメディアに指摘されたAmazonの広報担当・Margaret Callahan氏は、「気候誓約を共同設立した当時と比べ、世界は変わった」と述べるにとどめた。
さらに、新発電所の問題だけではない。Amazonは直近の開示において、2025年における社内全体の電力使用量が前年比34%増という過去最大の増加幅を記録したことを明らかにしている。同社の排出量は毎年更新されており、今回の計画はその延長線上にある。
AI投資と環境負荷のトレードオフ
データセンターの急拡大はAmazonに限った話ではないが、今回の規模は群を抜いている。AIの学習・推論に必要な計算リソースは爆発的に増加しており、大手クラウド各社はこぞって電力確保に動いている。ガス火力に依存するのも、再生可能エネルギーだけでは安定供給が難しいという現実がある。
Amazonの気候公約に関する公式ページでは、再生可能エネルギーへの投資や排出削減目標が掲げられているが、今回の計画との整合性について現時点で同社から明確な説明はなされていない。AIブームを背景とした電力需要の急増が、クラウド大手各社の気候目標に構造的な圧力をかけている構図は、Amazonだけの問題ではなく業界全体の課題として今後も注目されるだろう。
ただし、Amazonがその現実に対してかつての公約をどう位置づけるのかについて、現時点で明確な説明はなされていない。
詳細はAmazon's New AI Data Center Is So Enormous That It Appears It Will Become the Largest Single Source of Pollution in the United Statesを参照していただきたい。