8月11日、PCMagが「What I Learned Vibe-Coding Apps With AI: 7 Pro Tips」と題した記事を公開した。コードを一行も書かずにアプリを完成させられると話題の「バイブコーディング」だが、実際に複数のアプリを作り切った筆者が行き着いた結論は、「AIに任せすぎてはいけない」という逆説的な教訓だった。
「バイブコーディング(Vibe Coding)」とは、自然言語のプロンプトだけでAIにコードを生成させ、アプリを作り上げる手法だ。2025年初頭にOpenAIの共同創業者Andrej Karpathyが提唱し、プログラミング経験がなくても始められる手軽さが注目を集めている。
PCMagのライターは、トレーディングカードゲーム「Magic: The Gathering」のコーチアプリと、オンラインアクションゲーム「Warframe」向けのビルダーアプリという2つのプロジェクトを実際に完成させた経験をもとに、失敗から学んだ実践的な知見を7つのTIPSとしてまとめた。Warframeはデジタルエクストリームが開発・運営する基本プレイ無料のTPSで、キャラクターやギアの組み合わせ(ビルド)を緻密に組む必要があるため、ビルダーアプリの需要が高いタイトルだ。
Tip 1:一度にやりすぎない
元記事が最初に挙げる教訓が「小さく始めてステップを刻む」だ。たとえばスペイン語学習アプリを作りたい場合、「スペイン語学習アプリを作って」と依頼してはいけない。まず「デジタルフラッシュカードのインターフェースを作って」と依頼し、次にカテゴリごとにカードを追加していく。一度に大量の機能を要求すると、バグ・クラッシュ・機能の不完全実装につながりやすい。
Tip 2:AIの作業中も目を離さない
AIに機能追加やコード変更を任せると、処理に時間がかかり、裏側のコードが大きく変わる。問題に気づいたら早めに止めて方向を修正すべきで、最後まで走らせてから気づくと手戻りが大きくなる。
実例として、Warframeのビルダーアプリ作成中にClaude(Anthropicが開発するAIアシスタント)へ「公式WikiからデータをとってDBに入れて」と依頼したところ、ClaudeはWikiに実際にはアクセスできないにもかかわらず代替手段を探し始めた。筆者はこの動きを途中で察知して処理を止め、自分でデータソースを選び直した。AIに判断を委ねず、人間が意思決定を保持することが重要だというわかりやすい事例だ。
Tip 3:こまめに動作確認する
小さな変更でも、別の機能を壊している可能性がある。Warframeアプリでモバイルインターフェースの調整を依頼したところ、Claudeがデスクトップ側にも意図しない変更を加えていた、という失敗談が紹介されている。変更のたびに確認する習慣が不可欠だ。
Tip 4:バックアップを頻繁に取る
AIが誤ったサードパーティデータを挿入するといったトラブルは起こりえる。自分がコードを直接書いていない分、何が変わったかを追うのが難しく、バックアップの重要性は通常の開発以上に高い。
Tip 5:利用上限(Usage Cap)に注意する
アプリ開発にはClaudeのOpusやChatGPTのThinkingモデルのような推論モデルを大量に使う。有料プランでも上限があり、開発途中で打ち切られるリスクがある。作業量を見積もった上でプランを選ぶ必要がある。
Tip 6:スコープを現実的に設定する
AIで作れるアプリの複雑さには限界がある。シンプルなゲームは問題ないが、Skyrimのような大規模タイトルをプロンプトで作ることは不可能だ。特にコーディング経験が少ない場合は、「具体的で限定された機能を持つアプリ」に絞ることが推奨されている。Magic: The GatheringのコーチアプリもWarframeのビルダーアプリも、機能をあえて絞り込んだことが完成の鍵だったと筆者は述べている。
Tip 7:セキュリティが必要なアプリは作るな
パスワードマネージャーのような機密データを扱うアプリをバイブコーディングで作るべきではない。AIはセキュリティを自動的に担保しない。「セキュリティを強化して」と依頼しても、実際に対応されるかどうかは保証がない。コードのセキュリティレビューは経験豊富な人間のエンジニアに依頼すべきだとされている。
ボーナスTIP:ゆっくり、何度も繰り返す
元記事では7つのTIPSに加え、「急がない」という原則がボーナスとして独立した形で添えられている。機能を一つずつ実装してテストし、満足したら次に進む。実際のソフトウェア開発と同じで、焦ると後で問題が複雑になるだけだ。
7つの教訓を通じて見えてくるのは、バイブコーディングが「AIへの丸投げ」ではなく「AIと人間の継続的な協働」であるという実態だ。プロトタイプや個人ツールを素早く作る手段として有効な一方、「AIが全部やってくれる」という過信は禁物だ。本記事のTIPSは、開発経験のある読者にとっても再確認として有益な内容だ。
詳細はWhat I Learned Vibe-Coding Apps With AI: 7 Pro Tipsを参照していただきたい。