8月6日、PYMNTS.comが「Shopify's AI Traffic Triples as Shoppers Skip the Search Bar」と題した記事を公開した。ユーザーが検索バーを一切使わず、ChatGPTやPerplexityに話しかけてそのまま商品ページに着地する——そうした購買行動の変化が、Shopifyの2026年第2四半期決算で初めて大規模な数値として可視化された。
AI経由のトラフィックと注文数が前年比3倍
Shopifyの2026年第2四半期決算(8月5日発表)において、AI経由のトラフィックと注文数がともに前年比3倍に達したことが明らかになった。さらに、AI経由チャネルからの新規購入者の獲得率は、他チャネルの約2倍に上るという。社長のHarley Finkelstein氏がアナリスト向け決算説明会で述べた。
注目すべき変化は、ユーザーの行動パターンだ。従来の検索では、ユーザーは検索バーにキーワードを入力し、一覧ページで比較・吟味してから購入に至る。一方、ChatGPTやPerplexityなどのAIアシスタントから流入したセッションは、商品ページに直接ランディングする。Shopifyのデータによれば、AI経由セッションの半数がいきなり商品詳細ページに到達しており、これは従来の検索経由と比べて2.5倍高い率だ。
比較・回遊のステップが丸ごとスキップされる。これは購入ファネルの構造が根本的に変わりつつあることを示している。
※編集部の考察:この構造変化はSEOビジネスモデルにも深刻な影響を与えうる。従来のキーワードSEOはGoogleの検索結果ページへの露出を前提としていたが、AIアシスタントが「回答+商品提示」を一気通貫で行うようになると、Google検索を経由しない購買フローが主流になる可能性がある。検索連動型広告(SEA)やオーガニックSEOへの投資対効果が問い直されることになりそうだ。
構造化カタログが転換率を2倍にする
この成果の背景には、Shopifyが約2年間かけて整備してきた構造化商品カタログがある。同社は10億点超の商品データを体系的に整理し、外部のAIシステムがWebページをスクレイピングすることなく直接クエリできるインデックスを構築してきた。
Finkelstein氏は、Shopifyのカタログを活用したAI検索の転換率は、スクレイピングデータに頼ったAI検索の2倍に達すると述べた。その差の要因はデータの完全性だ。カタログエントリには仕様が網羅されているのに対し、スクレイピングで取得した商品情報は属性が欠落しがちで、ショッピングエージェントがユーザーのリクエストとマッチングするのに必要な情報が揃っていないことが多い。
小規模・ニッチなマーチャントほど恩恵が大きい
AI検索は「どのマーチャントが発見されるか」にも変化をもたらしている。従来のキーワード検索では、検索ボリュームの多い競合に埋もれがちだったニッチな商品が、AI検索のクエリマッチングによって浮上するようになった。
Finkelstein氏が具体例として挙げたのは、「3列シートのセダンに対応したチャイルドシート」と「白浮きしないリーフセーフ日焼け止め」。どちらもShopifyの小規模マーチャントの商品で、キーワードランキングではなくAIのクエリマッチングによって可視性を獲得した。
マーチャント向けAIアシスタント「Sidekick」も急拡大
Shopifyはコンシューマー側だけでなく、マーチャント向けにもSidekickというAIアシスタントをダッシュボードに組み込んでいる。第2四半期において、Sidekickのデイリーアクティブマーチャント数は前年比3.6倍に拡大。同期間の会話数は約3,400万件に達した。
また、マーチャントがSidekickを使って構築したカスタムアプリ数は36,000超に上った。元記事では第1四半期の12,000との比較が示されているが、この数値が累計ベースか四半期単体ベースかは元記事上では明示されていないため、単純な増加数として読む際は注意が必要だ。
外部AIプラットフォームとの連携も進んでおり、Claude、ChatGPT、Perplexity、ReplitとのAIツールキット接続が行われた。
第2四半期の主要数値
| 指標 | 数値 | 前年比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 36億ドル | +34% |
| GMV | 1,160億ドル | +32% |
| 粗利益 | 17.1億ドル | +31% |
| マーチャントソリューション売上 | — | +37% |
| サブスクリプション売上 | — | +22% |
GMVの30%超成長は5四半期連続。決済浸透率はグローバルGMVの68%に達した。Shop Payの累計加速GMVは4,000億ドルを突破した。
第3四半期のガイダンスは、売上成長率が前年比「低30%台」、粗利益成長率が「中〜高20%台」とされている。
詳細はShopify's AI Traffic Triples as Shoppers Skip the Search Barを参照していただきたい。