8月5日、Mitch Ashleyが「Palantir Q2 FY 2026 Earnings Surge on US Commercial AI Demand」と題した記事を公開した。Palantir Technologies(NASDAQ: PLTR)の2026年度第2四半期決算で米国商業収益が149%増・総収益が93%増と急拡大したことを詳報するもので、エンタープライズAI需要が「実験」から「本番導入」へと移行したことを、業界全体の転換点として位置づけている。AIへの大規模投資がROIを示せるかどうかが問われてきた市場において、Palantirの数字はその問いに対する一つの具体的な答えになりうる。
「実験」から「本番導入」へ——米国商業収益が149%増
Palantirが2026年6月30日を末日とする四半期の決算を発表した。総収益は19億4000万ドル、前年同期比93%増。コンセンサス予想の18億1000万ドルを大きく上回った。
最大の牽引役は米国商業セグメントだ。米国商業収益は前年同期比149%増の7億6400万ドル、四半期比でも28%増と加速している。商業全体では110%増の9億4500万ドルに達した。
顧客数も伸びており、米国商業の顧客数は653社に到達。受注面はさらに強く、米国商業の四半期総契約価値(TCV)は21億3200万ドルと過去最高を記録し、前年同期比153%増となった。直近12ヶ月累計では59億6400万ドルに上る。契約残高(Remaining Deal Value)は前年同期比124%増で、今四半期だけの一時的な急騰ではなく、複数年契約が積み上がっていることを示している。
利益面では、調整後営業利益は11億9000万ドル(マージン62%)、GAAPベースの純利益は10億6000万ドル(マージン55%)。調整後フリーキャッシュフローは12億2000万ドルに達した。SaaS企業の健全性指標として広く参照されるRule of 40スコアは**155%**という水準に到達した。Rule of 40とは「収益成長率+利益率」の合計値で、一般に40以上であれば高成長・高収益を両立する優良企業と評価される指標だ。Palantirの155%という数値はその基準を大幅に上回る。
CEOのAlex Karp氏はこう述べている。
「AIソブリンティへの需要が解き放たれた。Palantirはトークンを実際の経済的価値に変換できることを実証した唯一の企業だ。この四半期は現実離れしていた」
AIPと「AIソブリンティ」——差別化の核心
Palantirの商業成長を支えるのが、AI Platform(AIP)だ。AIPは単なるLLMのラッパーではなく、企業が自社のモデル・データ・意思決定を「自社で管理・所有」するための制御基盤として設計されている。Palantirはこのコンセプトを「AIソブリンティ(AI主権)」と呼ぶ——サードパーティの基盤モデルにデータを渡すのではなく、自社内に閉じた形でAIを運用するという考え方だ。
AIPの特徴は、大規模言語モデルにテレメトリ、評価フレームワーク、顧客固有のベンチマークを組み合わせ、企業が自社システムの性能を継続的に測定・改善できる点にある。
記事の中でMitch Ashley氏が注目しているのは、Palantirの「フォワードデプロイドエンジニアリング」モデルだ。Palantirはエンジニアを顧客のオペレーションに直接埋め込み、PoC(概念実証)から本番稼働までの距離を圧縮する。元記事によれば、あるコンペ(bake-off)においてAIPとPalantirのエンジニアチームが、同じモデルを使ったフロンティアAIラボのチームを上回る結果を出したとされているが、対象となったラボの詳細は記事中では特定されていない。
Ashleyの分析では、Palantirの競争優位は「モデルの質」ではなく、「モデルをガバナンスの効いた、動く実システムに変換する能力」にあると整理されている。この強みが刺さるのは、金融・防衛・医療など、データ管理が非交渉事項となる規制産業だ。
政府セグメントも加速——記録的な受注残
政府セグメントも堅調だ。政府収益は前年同期比79%増の9億9000万ドル、うち米国政府は90%増の8億900万ドルで、防衛・民間両部門にわたって伸びている。国際政府収益も42%増の1億8100万ドルと底上げされた。
四半期全体の総契約締結額は34億ドル(前年同期比49%増)、受注残合計は131億ドル(83%増)に達した。この残高は来年以降の収益として既に積み上がっており、成長の持続性を支える構造になっている。
通期ガイダンスを大幅に上方修正
Palantirは2026年度の通期収益ガイダンスを大幅に引き上げた。元記事に記載された数値をそのまま引用すると81億5000万〜81億5800万ドルとされているが、レンジ幅が800万ドルと極めて狭く、詳細は元記事および同社の投資家向けIRページで確認することを推奨する。いずれにせよ、従来のコンセンサス予想(約77億3000万ドル)を大幅に上回り、前年比約82%成長を示す水準だ。
米国商業収益ガイダンスは34億2400万ドル以上(134%以上成長)、調整後営業利益ガイダンスは約48億9000万ドルに引き上げられた。第3四半期のガイダンスは約21億6000万ドルで、コンセンサスの20億ドルを上回る水準だ。
Ashleyの評価では、ガイダンスの上方修正幅(従来比約10ポイント)がアフターマーケットでの株価上昇を後押ししたとされる一方、現在の株価はすでに複数年の高成長を織り込んだ水準にあり、「実行力ではなくバリュエーションが問いになっている」と指摘している。
テクノロジー購買者へのシグナルは明確だ——ガバナンスが効いたエンタープライズAIの導入が、実験予算からコア予算に移行した。
詳細はPalantir Q2 FY 2026 Earnings Surge on US Commercial AI Demandを参照していただきたい。