8月6日、Ed Zitronが「News: Microsoft Disclosures Suggest OpenAI Sales Account For Around 70% Of FY26 AI Revenue, more than 7% of FY26 Revenue」と題した記事を公開した。MicrosoftがFY2026決算で開示した数字を分析すると、同社のAI収益の約70%が事実上「OpenAIとの取引1本」で成り立っており、2,700億ドルに及ぶ巨額投資の行き先が単一クライアントの支援に集中しているという、きわめて異例の依存構造が浮かび上がる。
MicrosoftのAI収益、70%超がOpenAI由来
Microsoftの最新決算開示によれば、FY2026(2026年6月期)においてOpenAIとの商業契約から得た収益は241億ドルに達した。この数字には、MicrosoftがOpenAIに提供するAzureクラウドコンピューティングの利用対価と、OpenAIからの収益分配(revenue sharing)の双方が含まれる。
収益分配(revenue sharing)とは、MicrosoftがOpenAIの製品・サービスの販売を支援する見返りとして、OpenAIの売上の一定割合をMicrosoftが受け取る仕組みを指す。両社の提携契約の詳細は非公開だが、今回の開示によってその規模感が初めて数字として可視化された形だ。
Bloombergはこの241億ドルと、MicrosoftがQ3決算で示した「AI年間換算収益(annual run rate)370億ドル」という指標を組み合わせ、OpenAIがMicrosoftの実際のAI売上の「半分以上、おそらく約70%」を占めると報じた。
なお「run rate(年換算レート)」とは、ある特定の期間の収益を年率換算して算出する指標であり、実際の通年収益とは乖離する可能性がある。Zitronは、実際の数値は370億ドルを大幅に下回る可能性も否定できないと指摘しており、その場合OpenAIの比率はさらに高くなる。
Microsoft全体の売上に占める割合も無視できない水準
さらに注目すべきは、MicrosoftのFY2026全体売上3,318億ドルに対してもOpenAI関連収益が約7.26%を占めるという事実だ。
単一の取引先が売上の7%超を担うという構造は、一般的な大企業では異例の集中リスクとなる。しかもMicrosoftは2022年初頭以降、累計2,700億ドルの設備投資(CapEx)を実施してきた。この大規模投資の相当部分が、OpenAIのクラウドコンピューティング基盤を支えるためのデータセンター整備に充てられている。
「AIバブル4年目」の現実
Ed Zitronはこの状況を手厳しく評している。
At this point, it's impossible to argue that Microsoft has spent $270 billion in capital expenditures to prop up a single client, and that its overall AI plays have failed to create any significant revenue growth or opportunities.
(意訳:MicrosoftがOpenAIという単一クライアントを支えるために2,700億ドルを投じ、AI全体の取り組みが有意な収益成長をもたらせていないという事実は、もはや否定しようがない)
AIブームが本格化した2022年から数えて4年が経過した現在、Microsoftが実際に示せているのは「クラウド請求を払い続けるために無限のリソースを必要とする、一社の巨大で持続不可能な企業(OpenAI)」への依存だけだ、というのがZitronの主張だ。
同氏は前日の別記事でも、アナリスト推計を引用しつつOpenAIとAnthropicだけでMicrosoft・Google・Amazon合計のAI収益の70%以上を占めると論じており、今回のMicrosoft開示はその見方を裏付ける形となった。
※なお、Ed Zitronは「Where's Your Ed At」を主宰するテクノロジー批評家・PRコンサルタントであり、大手テック企業の誇張や「バズワード経営」に対して一貫して批判的な論調で知られる。同メディアは独立系のニュースレターであり、業界に対して距離を置いた批評的視点を強みとする。今回の記事もその文脈で読む必要がある。
数字の整理
| 指標 | 金額 |
|---|---|
| MicrosoftのFY2026総収益 | 3,318億ドル |
| MicrosoftのAI年換算収益(Q3 run rate) | 370億ドル |
| OpenAI関連収益(FY2026) | 241億ドル |
| OpenAIからの売掛金(2026年6月30日時点) | 60億ドル |
| 2022年以降のMicrosoft CapEx累計 | 2,700億ドル |
| OpenAIのAI収益比率(概算) | 約64.8〜70%超 |
| OpenAIの全社収益に占める比率 | 約7.26% |
※表中「OpenAIのAI収益比率」はMicrosoftのAI収益(run rate 370億ドル)に対するOpenAI関連収益241億ドルの割合、「OpenAIの全社収益に占める比率」はMicrosoftの全社収益3,318億ドルに対する241億ドルの割合を指す。
OpenAIへの依存度とMicrosoftの巨額CapExの関係は、AI投資の持続可能性をめぐる議論に直接的な数字を提供するものだ。MicrosoftがこのOpenAI依存構造をどう変えていくか、あるいは変えないのかは、今後の決算開示で引き続き注目される論点となる。
詳細はNews: Microsoft Disclosures Suggest OpenAI Sales Account For Around 70% Of FY26 AI Revenue, more than 7% of FY26 Revenueを参照していただきたい。