8月4日、Bruce Schneierが「Some Claude Chats Are Searchable on Google」と題した記事を公開した。AnthropicのAIサービス「Claude」上のチャット内容がGoogleで検索・閲覧できる状態になっていた問題について、404 Mediaの調査報道を引用しながら詳しく取り上げている。
Claudeのチャットがグーグルで丸見えに
セキュリティ研究者として知られるBruce Schneierが、404 Mediaの調査報道を引用しながらこの問題を取り上げた。
公開状態になっていた内容は幅広い。AIを使って開発されたセラピーアプリのチャット履歴、会議メモ、医療請求データを分析するダッシュボードの設計記録などが含まれていた。さらに深刻なのは、暗号資産ウォレットの秘密鍵や、住所などの個人情報まで含まれていた点だ。
「ユーザーが公開設定にしたのが原因」——Anthropicの見解
Anthropicは声明の中でこう述べている。
「私たちはユーザーにClaudeの会話を公開するかどうかの選択権を与えており、プライバシー原則に従い、チャットのディレクトリやサイトマップをGoogleなどの検索エンジンに共有していない。共有リンクは、ユーザーが自ら共有しない限り、推測も発見もできない仕様になっている。会話を共有した場合、そのコンテンツは公開状態になり、他の公開ウェブコンテンツと同様にサードパーティのサービスにアーカイブされる可能性がある。」
要するに、「ユーザーが意図的または誤って共有リンクを有効にした結果であり、Anthropic側の問題ではない」というのが同社の立場だ。
構造的な問題はないのか
Anthropicの主張は技術的には筋が通っている。「共有リンクを生成してURLを誰かに渡した場合、検索エンジンにクロールされ得る」という挙動は、一般的なWebサービスと同様だ。
Claudeの「共有リンク」機能は、ユーザーが任意のチャットに対して公開URLを発行できる仕組みで、そのURLにアクセスできる第三者は会話内容を閲覧できる。Anthropicはチャットのサイトマップを検索エンジンに提出していないと説明しているが、一度URLが外部に出れば、Googlebotなどのクローラーがそのページを発見・インデックスする可能性は排除できない。つまり「意図せず共有した」ケースにおいても、チャット内容が事実上公開状態になり得る構造だ。
ただし問題の本質はそこにある。「共有」の操作がどれだけユーザーに分かりやすく設計されているか、そして「公開設定にすると検索エンジンに索引される可能性がある」という事実がどこまで明示されているか、という点だ。秘密鍵や医療データが公開状態になっていた事実は、少なからぬユーザーがそのリスクを十分に理解していなかったことを示唆している。
※編集部の考察:類似の問題はほかのサービスでも起きている。ChatGPTでは2023年に共有リンク経由で他ユーザーのチャット履歴が閲覧できる不具合が報告され、NotionやGoogle Docsでも「リンクを知っている全員が閲覧可能」という設定を誤って適用したまま機密情報を含むドキュメントが公開状態になる事例が繰り返し発生している。AIチャットサービスに限らず、「共有」機能の設計とユーザーへの周知は業界全体の課題といえる。
対処法
Anthropicは対処方法として、チャットの共有設定を変更するサポートページを公開している:Share and unshare chats – Claude Support
Claudeを業務や個人的な用途で使っているなら、過去に「共有リンク」を有効にしたチャットがないか確認することを推奨したい。特にAPIキー、ウォレット情報、個人の住所、医療情報などが含まれるチャットは要注意だ。共有を解除した場合、そのURLは無効化されるが、すでに検索エンジンにキャッシュされたコンテンツが即座に削除されるとは限らない点にも留意が必要である。
詳細はSome Claude Chats Are Searchable on Googleを参照していただきたい。