8月4日、Futurismが「Top Consulting Group PwC Caught Using AI on "Thought Leadership" Report About AI, Resulting in Corporate Document Filled With Bizarre Hallucinations」と題した記事を公開した。大手コンサルティングファームPwCがAIをテーマにした「ソートリーダーシップ」レポートにAI生成コンテンツを使用し、実在しないフレームワークを「各国政府が導入済み」と紹介するなど、ハルシネーション(幻覚)だらけの文書を公開していたことが発覚した。高額報酬を受け取るプロフェッショナルサービスファームが、検証すらしていないAI出力をそのままクライアントに納品していたという構図が、業界全体に衝撃を与えている。
存在しないフレームワークを「世界各国で導入済み」と紹介
問題を明らかにしたのは、GPTZeroの調査チームだ。GPTZeroはAI生成コンテンツの検出を専門とする企業であり、コンサルティングレポートや学術論文など公共性の高い文書におけるAI利用の透明性を継続的に調査している。今回もその活動の一環として、PwCが2024年から2026年にかけて中東のパートナー企業向けに公開した4本のレポートを分析した結果、「ハルシネーションによる架空の引用、でたらめな主張、意味不明な構成」が随所に確認されたという。
最も象徴的な事例が、2025年のレポートに登場する「Citizen Pulse」というフレームワークだ。レポートでは「各国政府が導入しているフレームワーク」として丸ごと1セクションが割かれているが、GPTZeroの調査によれば、このフレームワークは実在しない。AIが作り上げた架空の概念であり、裏付けとして挙げられた引用文献ごと、まるまるでたらめだった。
他にも、杜撰な引用が随所で確認されている。あるレポートでは「Mediumのフォロワー280人のティーンエイジャーブロガー」がJPモルガンのAI戦略に関する情報源として脚注に引用されていた。また別のレポートでは、「交通事故の90%は人為的ミスが原因」という同一の主張が、2ページの間に3回、それぞれ異なる出典付きで登場していた。GPTZeroのPaul Esau研究員はFinancial Timesに対し、「人間なら絶対にやらないことだ」と述べている。これらの事例は単純な不注意というより、AI出力を人間がほとんど確認せずにそのまま使用していたことを強く示唆している。
AIに関するレポートがAIで汚染されていた皮肉
今回の問題が特に痛烈なのは、問題となったレポートの多くがAIそのものをテーマにしていた点だ。自律走行車に関する公共サービス改善を政府に指南するレポートや、「エージェンティックAI」ボットの活用を論じたレポートが含まれており、内容と実態の乖離は深刻だ。AIの正しい活用を提言する文書が、AIの誤った使い方によって汚染されていたという皮肉な構図である。
Financial Timesの報道を受け、PwC中東は「公開リサーチの正確性を重視しており、一部レポートの引用情報を更新中」とコメントした。また「責任あるAI活用に沿った品質管理プロセスがあり、全スタッフが遵守することを期待している」とも述べているが、具体的な責任の所在や再発防止策には触れていない。
Big Fourで相次ぐハルシネーション問題
PwCだけではない。つい先月(7月)には、同じくBig Fourの一角であるKPMGが、AIエージェントを「投資助言、リスク管理、コンプライアンス監視に統合する方法」を論じたレポートにハルシネーションを大量に含めていたことが発覚している(関連記事)。
問題はコンサルティング業界にとどまらない。架空の判例を裁判資料に含めた弁護士が裁判官から叱責を受ける事例が相次ぎ、学術分野でもAI生成論文の氾濫が問題化している。高額な報酬を受け取るプロフェッショナルサービスファームが、検証すらしていないAI出力をそのままクライアントに納品していた。この構図が白日の下に晒されたことで、コンサルティング業界全体の成果物の品質に対する疑念が強まっている。