8月3日、CNBCが「White House to host AI companies Tuesday to review new model-testing framework」と題した記事を公開した。AIモデルが悪意ある攻撃者に悪用される前に、政府が先にそのサイバー攻撃能力を見極める——そのような枠組みをホワイトハウスが主導しようとしている。OpenAI・Google・Anthropicという最前線のAI企業を招集し、先端モデルの公開前審査制度の具体化を協議する計画だ。
ホワイトハウスがAI企業を招集、モデル審査の枠組みを協議
ホワイトハウスは8月5日(火)、AI企業各社を招いた会議を開催する。議題は、トランプ大統領が6月に署名した大統領令に基づき新たに策定された、先端AIモデルのサイバーセキュリティ能力を評価するための任意フレームワークだ。会議の詳細はホワイトハウス当局者が匿名を条件にCNBCへ確認した。
参加が見込まれるのはAnthropic・OpenAI・Googleの3社。ホワイトハウス当局者によれば、政府はより広範な業界パートナーとも連携して取り組みを進めてきたという。
大統領令の骨子:最大30日間の事前アクセス
今回の枠組みの根拠となるのは、2026年6月2日付の大統領令だ。この命令は連邦政府当局者に対し、AI開発者が自社モデルを「covered frontier models(審査対象フロンティアモデル)」に該当するかどうかを判定できるプロセスの構築を指示した。
「フロンティアモデル」とは、現時点で最高水準の性能・能力を持つ大規模AIモデルを指す業界用語であり、CISA(サイバーセキュリティ・インフラセキュリティ庁)やNSA(国家安全保障局)といった機関がその安全保障上のリスクを注視している。今回の「covered frontier models」として審査対象となる具体的な閾値(計算量・性能指標など)は機密扱いとなる見通しで、外部からの確認はできない。
任意参加の開発者は、モデルを他のパートナーへ公開する前に、最大30日間政府へのアクセスを提供できる。政府とAI企業の双方がこの期間を使い、モデルがソフトウェアの脆弱性発見や高度なサイバー攻撃に悪用される可能性を評価することを想定している。
技術的な審査プロセスの設計は、財務省・NSA・CISAの3機関が担い、先端サイバー能力を評価する機密ベンチマーキング手法を構築する。ベンチマークの内容や審査対象を決める閾値はいずれも機密扱いとなる見通しで、政府はフレームワーク全体を公開していない。
「任意」かつ「非認可」が原則
大統領令には重要な制約が明記されている。このプログラムは、新たなAIモデルの開発・リリースに対する強制的な連邦ライセンスや事前認可要件の設定には使用できないとされている。あくまで自発的な参加を前提とした枠組みだ。
背景として、フロンティアモデルの自律的なサイバー攻撃能力への懸念が高まっている。元記事によれば、OpenAIやHugging Faceにおけるサイバー上の警告事案が相次いでおり、こうした状況が政府主導のモデル審査の動きを後押しした形だ。
「任意」の実効性への疑問
フレームワークが任意参加である点、そしてベンチマークや閾値が機密扱いである点は、透明性の観点から疑問を持つ向きもある。政府がどのような基準でモデルを評価するのかが外部から検証できない構造は、制度設計として課題を残す。一方で、強制的な規制を避けることでAI開発の速度を維持したいという業界の要求とのバランスを取った結果とも読める。
※編集部の考察:任意参加・機密ベンチマークという構造は、企業側の協力インセンティブをどう設計するかが制度の実効性を左右する。政府がどの程度の「飴と鞭」を用意するかが、今後の焦点になるだろう。
詳細はWhite House to host AI companies Tuesday to review new model-testing frameworkを参照していただきたい。