8月4日、PYMNTSが「Amazon's AI Business Helps It Top $3 Trillion Market Cap」と題した記事を公開した。AmazonがAIビジネスを原動力に時価総額3兆ドルを初めて突破したことを報じる内容で、注目されるのは「最強のAIモデルを作った」ことではなく、「クラウドにAIを統合した」という戦略の方向性だ。
Amazonが「3兆ドルクラブ」に加入
8月3日(月)、Amazonの時価総額が初めて3兆ドルを超えた。直接のきっかけは7月30日(木)に発表した決算で、AI需要がクラウドコンピューティング事業(AWS)の成長を牽引していることが示され、投資家から好意的な評価を受けた。
時価総額3兆ドルに到達した企業はこれまでAlphabet、Apple、Microsoft、Nvidiaの4社のみだった。Amazonはそこに5社目として加わった形だ。なお記事公開時点では、Nvidiaが時価総額約5兆ドルで世界最大。Appleも先週5兆ドルに達している。
「マグニフィセント・セブン」の明暗
現在、いわゆる「マグニフィセント・セブン」(Apple、Microsoft、Alphabet、Amazon、Meta、Nvidia、Tesla)の中で、今四半期の決算発表後に投資家から好評を得たのはAmazonとMicrosoftの2社だけだ。
対照的に、Alphabet(Google親会社)、Meta、Teslaはいずれも決算後に株価が下落した。Appleも木曜日に決算を発表したが、売上見通しの弱さから株価が下落。Nvidiaの決算発表は8月26日を予定している。
AI投資コストの重さに投資家が懸念を示すなか、Amazonがクラウドという収益基盤と結びついた形でAI需要を取り込めていることが、株式市場での評価を分けた格好だ。
AmazonのAI戦略:「最前線モデル」より「インフラ」
AmazonはAnthropicへの大規模出資をはじめ、AI分野への資金投入を続けているが、戦略の方向性は独特だ。
PYMNTSが同日別途報じたところによれば、Amazonは「AIスタックの中で最もコストが高く、差別化が難しいレイヤーから撤退しつつある」という。つまり、汎用の大規模言語モデル(フロンティアモデル)の開発競争には深追いせず、自社がすでに構造的優位を持つクラウド(AWS)・EC・広告・物流にAIを組み込む方向に集中しているということだ。
この判断は、資本配分の規律という観点からも理にかなっている。
WalmartとのAI競争が次フェーズへ
もう一つの注目点は、WalmartとのAI活用競争だ。Walmartは商品検索、サプライチェーン、従業員生産性、店舗オペレーションにAIを積極導入しているが、独自のフロンティアモデルを開発する大きな動きは見せていない。
PYMNTSはこの対比について次のように指摘している。
「AmazonとWalmartは、どちらがより優れた汎用モデルを訓練するかで勝負が決まるわけではない。どちらが、ますます普及していくインテリジェンスを自社の独自商業システムと接続できるかで勝敗が決まる」
つまり、小売AI競争の勝者は「最強のモデルを作った企業」ではなく、「AIを自社の業務システムに深く統合した企業」になるという見方だ。Amazonの戦略転換は、まさにその方向を向いている。
詳細はAmazon's AI Business Helps It Top $3 Trillion Market Capを参照していただきたい。