8月1日、Digital Trendsが「Snapchat's Spotlight algorithm now favors human-made videos over AI-generated ones」と題した記事を公開した。AIで量産したコンテンツを投稿しても推薦されず、収益化もできない——Snapchatがそのような方針を打ち出した背景には、業界全体で深刻化する「AIスロップ」問題がある。LinkedInやYouTubeも相次いで規制を強化しており、AI生成コンテンツへの対処は主要プラットフォームに共通する課題となりつつある。
AI生成動画は推薦対象外に、収益化も不可
Snapchatは今月より、縦型動画のパブリックフィード「Spotlight」において、完全にAIで生成された動画を推薦対象から除外する方針を発表した。SpotlightはいわばSnapchat版のショート動画フィードで、TikTokのFor Youページに相当するアルゴリズム型の発見面だ。そのSpotlightで、AI利用を開示していても例外は認められない。更新されたガイドラインには、透明性ラベルの有無にかかわらず、人間制作コンテンツをAIコンテンツより優先すると明記されている。
また、完全AI生成の動画は収益化(モネタイゼーション)の対象外となる。Spotlightではクリエイターへの報酬プログラムが提供されており、AIで量産したコンテンツを収益目的で投稿していたアカウントには直接的な打撃となる。
ただし、Snapchat自身のAIクリエイティブツールを使って編集・加工した動画は引き続き対象となる。その場合、AIが関与したことを示す表示が動画に付与される。同社によれば、Spotlightへの投稿者数は前年比で120%以上増加しており、すでに多くのユーザーがオリジナルコンテンツの投稿を選んでいると主張している。
プラットフォームのAIコンテンツ規制は業界全体の潮流
Snapchatのこの動きは、業界全体で広がる「AIスロップ(AI slop)」対策の一環として位置づけられる。AIスロップとは、生成AIで大量・低品質に量産されたコンテンツを指す俗称で、推薦フィードを埋め尽くしてオリジナルクリエイターの露出を奪う問題が各プラットフォームで顕在化している。
直近の各社の対応は以下の通りだ。
- LinkedIn:ユーザーが投稿をAIスロップとしてフラグを立てられるボタンを導入。アルゴリズム降格とは異なりユーザー主導の報告機能であり、対処の性質はSnapchatとは異なる
- YouTube:汎用的・テンプレート的なAIコンテンツへの収益分配を停止するポリシーを更新
- Meta:報道によれば、物議を醸したInstagramのAI画像生成機能を撤廃したとされる(ただしCEOはAI駆動のパーソナライズドコンテンツの推進は継続するとしている)
Snapchatは今回の変更について「クリエイターが時間と労力をかけてコンテンツを制作した場合に、より多くの視聴者へリーチできる機会を確保するため」と説明している。
エンジニア視点での注目点
プラットフォームがアルゴリズムレベルでAI生成コンテンツを検出・降格するためには、動画の生成元を判別する仕組みが必要になる。Snapchatは具体的な検出手法を公表していないが、メタデータ、透かし(ウォーターマーク)、あるいは映像解析による識別が技術的な候補として考えられる。
ウォーターマークについては、C2PA(Coalition for Content Provenance and Authenticity)が策定するコンテンツ来歴の標準規格が業界横断で普及しつつあり、生成AIツールが出力に来歴情報を埋め込む取り組みも進んでいる。ただし、今回のガイドラインではAI利用の開示を前提としたラベリングが一部の条件として機能しており、完全自動検出のみに依存しているわけではないと読める。自己申告ベースの運用が含まれる以上、悪意ある投稿者への抑止力としての限界も残る。
Snapchatが「自社AIツールによる編集は許可」としている点も興味深い。プラットフォームが自社ツールの使用を推奨しつつ、外部生成コンテンツを排除するという構造は、クリエイターエコシステムの囲い込みという側面も持つ。今後、他プラットフォームが同様の自社ツール優遇策をとるかどうかも注目される点だ。
詳細はSnapchat's Spotlight algorithm now favors human-made videos over AI-generated onesを参照していただきたい。