8月1日、Futurismが「Employees Long for the Days Before the Workplace Filled Up With AI Slop」と題した記事を公開した。この記事では、職場へのAI導入が生産性向上どころか従業員の負担増につながっており、AI登場以前の職場環境を懐かしむ声が多数派に達しているという調査結果について詳しく紹介されている。
3人に2人が「AI以前の職場」を懐かしむ
アトラシアン製品のパートナーとして知られるプロフェッショナルサービス企業Adaptavistが、複数国のオフィスワーカーを対象に実施した調査レポート「The Human Cost of AI Transformation」によると、回答者の65%がAI導入前の仕事を定期的に懐かしんでいると回答した。さらに3分の1超は、可能であれば生成AIツールを自分の生活から完全に削除したいと答えている。
加えて、36%の回答者は「そもそもなぜAIを強制されているのか理解できない」と認めており、現場レベルでのAI導入の意義が十分に伝わっていない実態が浮かび上がる。
「検証」に追われ、生産性は上がらない
かつてAIは生産性向上の切り札として語られてきた。しかし現場の声はそれとは裏腹だ。最も示唆的なデータが「AIの出力を検証する時間の方が、AIによって節約できる時間より長い」という逆転現象で、実に42%の回答者がこれを認めている。AIを使うことで仕事が速くなるどころか、確認・修正という名の追加作業が発生し、結果的に工数が増えているということだ。
他の数字も同様の傾向を裏付けている。
- **42%**:「AIの出力を確認する時間の方が、AIによって節約できる時間より長い」
- **49%**:「品質の低いAI出力がプロジェクトの進行を遅らせている」
- **約50%**:「仕事がより単調で意味のないものになっていると感じる」
ハルシネーション(AIが事実と異なる内容を自信満々に生成する現象)を起こしたAIの出力を慎重に検査したり、本来の職務記述書にはなかったプロンプトエンジニアリングをこなしたりと、AIが「追加業務」を生み出している構図だ。「AIが単純作業を引き受け、人間はより創造的な仕事に集中できる」という当初の約束とは正反対の事態が現場で起きている。
雇用不安も追い打ち
生産性が上がらないだけならまだしも、雇用不安が状況を悪化させている。回答者の54%が、今後5年以内にAIによって職を失うことを恐れていると答えた。
AIの低品質な出力を人間がカバーしながら、同時に自分の仕事がAIに奪われるかもしれないという不安を抱えて働くという、矛盾した状況に多くの従業員が置かれている。
Adaptavistは報告書の中でこう指摘している。
「明確なガードレール、説明責任、および整合性がなければ、AI効率化の約束は、まさにAIが支援するはずの人々への負担増によって相殺されるリスクがある」
導入を急いだツケ
この調査結果は、AI導入を急ぐ企業側と、それに翻弄される従業員側の断絶を示している。テック企業の経営陣がAI関連で利益を上げる一方、現場の労働者はコストを度外視したAI導入を強いられ、むしろ生産性が下がるという逆説的な状況に直面している。
Adaptavistはソフトウェア導入・変革支援を主力事業とする企業であり、今回の調査は企業のAI活用実態を継続的に追うシリーズの一環として位置づけられている。調査対象国やサンプル数の詳細はレポート本文に記載されており、企業規模・職種を横断した幅広いオフィスワーカーが対象となっている。
詳細はEmployees Long for the Days Before the Workplace Filled Up With AI Slopを参照していただきたい。