7月31日、Reclaim The Netが「ChatGPT and Roblox Face the EU's Strictest Online Rules」と題した記事を公開した。EUのデジタルサービス法(DSA)における最も厳格な規制カテゴリーである「超大型オンラインプラットフォーム(VLOP)」に、ChatGPTとRobloxが指定される見通しだという。ゲームプラットフォームへのVLOP指定は史上初であり、違反すれば**年間グローバル売上の最大6%**という重いペナルティが課される。
ChatGPTとRoblox、EUの「超大型プラットフォーム」指定へ
欧州委員会は、OpenAIのChatGPTとゲームプラットフォームのRobloxを、デジタルサービス法(DSA)上の「超大型オンラインプラットフォーム(VLOP:Very Large Online Platform)」として指定する方針だ。Bloombergが報じた。元記事の公開日(2025年7月31日)時点では「早ければ8月中にも指定」という段階であった。
VLOPの指定基準はEU域内の月間ユーザー数4,500万人以上。両サービスともにこの閾値を超えている。OpenAIが公表したデータによれば、ChatGPTのサーチ機能は2025年3月末から9月末までの6か月間(元記事公開時点で参照された期間)で、EU域内の月間ユーザーが1億2,040万人に達していた。ただし、OpenAIのスポークスパーソンはEuractiv(EUを専門とする報道機関)に対し、この数字はサーチ機能のみのカウントであり、チャットボットの他の機能は含まれていないと説明している。
VLOPに課される義務とは
VLOP指定を受けると、対象企業には以下の義務が課される:
- 透明性レポートの欧州委員会への定期提出
- リスク軽減計画の策定
- 年次独立監査の受け入れ
- 監督費用分担金の支払い(全世界純利益の最大**0.05%**)
さらに指定から4か月以内に、規制当局とユーザー間の新たな連絡チャネルの開設、刑事事件報告のためのユーザー監視、委員会および各国規制当局へのデータ提供、承認された「研究者」へのシステムアクセス許可、といった対応を完了しなければならない。
違反した場合のペナルティは**年間グローバル売上の最大6%**。EU域内売上ではなくグローバル売上が基準となる点が重い。
なお、DSAはプラットフォームの違法コンテンツ対応・透明性・利用者保護を規律する法律であり、プラットフォーム間の競争条件(ゲートキーパー規制)を定めるデジタル市場法(DMA)とは別の法体系である。両法はしばしば並列して語られるが、規制の目的と対象が異なる点に留意が必要だ。
Robloxにとっての意味:ゲームプラットフォーム初のVLOP指定
今回の件でとりわけ注目すべきは、ゲームプラットフォームがVLOP指定を受けるのはRobloxが初めてという点だ。未成年者保護に関するシステミックリスク対応義務が、ゲーム事業者に本格的に課されることになる。Robloxはすでに近年、顔認証IDや安全チャット機能など、より厳格な管理機能を順次導入している。
ChatGPTの分類問題:DSA適用範囲はまだ不確定
ChatGPTについては、大規模言語モデル(LLM)がそもそもDSAの適用対象に当たるのかという根本的な問題が未解決のままだ。欧州委員会のスポークスパーソン、トーマス・レニエ氏はReutersに対し、「AI企業のDSA分類はケースバイケースで判断する」と述べており、少なくとも2026年半ばまで決定が持ち越される見通しだとも報じられている。
DSA執行の現状と米欧摩擦
現時点でVLOPまたは超大型検索エンジンに指定されているサービスは21件(2026年4月1日時点)。Amazon、Apple、Google、Meta、Microsoft、Xなどが含まれる。昨年の監督費用徴収総額は約5,480万ユーロ。
制裁事例も積み上がっている。欧州委員会は2024年12月、Xに対してデザイン上の欺瞞と透明性欠如を理由に1億2,000万ユーロの制裁金を科した(Xは不服申し立て中)。DSA施行以来、デジタルプラットフォームへの調査件数は12件以上に上る。
一方、米国側はEUのテック規制を貿易問題として扱う姿勢を強めている。欧州委員会がGoogleにDMA違反で8億9,000万ユーロの制裁金を科した後、トランプ大統領は通商法301条(米国の貿易上の利益を損なう外国の行為・政策を調査・対抗する権限を大統領に付与する米通商法の条項)に基づく調査の開始を表明。EUが過去5年間に米国企業に科した制裁金を「違法かつ差別的」と断じ、撤回を要求した上で、制裁金の影響を相殺する関税措置さえ示唆した。共和党議員25名も、DMAとDSAの双方を同調査の対象とするようトランプ氏に働きかけている。
この米欧摩擦は、ChatGPTやRobloxへのVLOP指定の執行にも政治的な影を落とす可能性がある。DSA対象企業にとって、規制対応コストと米欧間の政治的緊張という二重の圧力が高まっている状況だ。
詳細はChatGPT and Roblox Face the EU's Strictest Online Rulesを参照していただきたい。