7月31日、PyMNTSが「Carvana Slashes Customer Service Costs Through AI Agent」と題した記事を公開した。中古車EC大手CarvanaがAIエージェントの活用によってカスタマーサービスコストを4年連続で削減し、過去最高の四半期業績を記録したことを伝えている。
AIエージェント「Sebastian」が4年連続でコスト削減
今回の決算発表で最も注目される数字は、カスタマーサービスのコスト削減だ。
Carvanaは自社のAIカスタマーエクスペリエンスエージェント **Sebastian**(Microsoft Azure Kubernetes Service上で動作)を展開している。CEOのErnie Garcia氏は決算説明会でその成果を次のように語った。
- 3年前:カスタマーケアコストを前年比40%削減
- 2年前:さらに30%削減
- 1年前:さらに20%削減
- 今年(2026年):さらに10%削減
これらの数字はGarcia氏が決算説明会で直接言及したものだ。単年の削減率は徐々に縮小しているが、これはベースが下がり続けているためであり、4年連続で前年を下回り続けているという事実の方が重い。コスト削減の「余地」が薄くなりながらも改善を続けている点は、AIエージェントの実用的な成熟度を示す事例として参考になる。
過去最高の業績と、その背景にあるAI活用
Carvanaの2026年第2四半期の業績は記録的な内容だった。
- 小売販売台数:19万7,000台(前年比38%増)
- 純利益:5億1,300万ドル
- 調整後EBITDA:7億6,900万ドル
業界全体が前年比約4ポイント減で推移するなか、Carvanaは38%増を達成した。Garcia氏はその要因として、中古車の再整備プロセス、ラストマイル物流の最適化、顧客体験の継続的な改善という3点を挙げた。AIによる各プロダクトの開発速度向上と、顧客体験のシンプル化が全社的な推進力になっていると説明している。
現場オペレーションを支える社内ツール「CARLI」
Carvanaは顧客向けAIエージェントとは別に、社内の生産拠点向けに **CARLI**(マネジメント向けツール群)を展開している。同社の株主向けレターで言及されており、規模拡大に伴って各生産拠点での業務品質を均質に保つことを目的としたものだ。上記リンクは同社のIRページ上の当該リリースであり、CARLIの導入背景や位置づけを確認できる。Sebastian同様に社内での実運用フェーズにある点は、社内外のAI活用が並行して進んでいることを示している。
新車販売への参入も進行中
AIとは直接関係しないが、Carvanaは2026年5月にステランティス(Stellantis)のディーラー7店舗を取得し、新車販売に参入した。Chrysler・Jeep・Ram・Dodgeの新車を、中古車事業と同じく値引き交渉なし・リモート完結のモデルで販売するという試みだ。
Garcia氏は「まだ非常に初期段階」としつつ、「中古車では車を再製造する必要があるが、新車では製造をアウトソースしている。オペレーション上の問題としてはシンプルだ」と述べた。詳細なデータが揃うまでコメントを控えるとしており、次回以降の決算発表での言及が注目される。
SebastianとCARLIが示すもの
CarvanaのSebastian導入事例は、AIエージェントが「PoC止まり」ではなく、継続的なコスト改善に寄与し続けている実例として興味深い。削減率が年々縮小しているのは自然な推移だが、4年間ゼロに戻ることなく改善を続けているという事実は、カスタマーサービス領域へのAI投資の持続的な効果を裏付けるものだ。社内向けのCARLIと合わせ、同社のAI活用が顧客接点と現場オペレーションの両軸で進んでいる点も注目に値する。
詳細はCarvana Slashes Customer Service Costs Through AI Agentを参照していただきたい。