7月30日、Euronewsが「Samsung profit surges 1,814% as AI chip demand soars」と題した記事を公開した。Samsung Electronicsの2026年4〜6月期決算は、全社営業利益が前年同期比1,814%増(約19倍)という驚異的な数字を叩き出した。その利益のほぼ全額を稼いだのが半導体事業であり、同部門単体では前年同期比223倍という桁違いの急拡大を記録している。
数字の全体像:全社19倍、半導体単体は223倍
混同を避けるために最初に整理しておく。今回の決算で注目すべき数字は大きく2つある。
- 全社営業利益:89.5兆ウォン(約54億ユーロ)、前年同期比1,814%増(約19倍)、前四半期比56%増で過去最高
- 半導体事業の営業利益:89.2兆ウォン(約53.8億ユーロ)、前年同期の0.4兆ウォン(約241百万ユーロ)から223倍に拡大
両者の数字がほぼ一致していることが示す通り、全社営業利益のほぼ全額(約99.7%)を半導体事業が単独で稼いだ形だ。売上高も前年同期比130%増の171.5兆ウォン(約103.5億ユーロ)と過去最高を更新した。
一方でモバイル・TV・家電部門は部品コスト上昇などを背景に営業損失を計上した。半導体の超好調がその損失をほぼ完全に吸収した格好だ。
半導体急拡大を支える2つの要因
この急拡大を支えているのは主に2つの要因だ。
- AIサーバー向け需要によるチップ価格の上昇
- HBM(高帯域幅メモリ)の出荷増加
HBM(High Bandwidth Memory)はNVIDIAのGPUなどAIアクセラレータに積層して使われるメモリで、LLMの学習・推論時に大量のデータを高速転送するために不可欠な部品だ。SamsungとSK Hynixがこの市場を寡占しており、元記事によれば両社合計で世界のメモリチップ生産量の約3分の2を担っているとされる。
供給不足は2028年まで続く見通し
Samsungのメモリチップ部門エグゼクティブ・バイスプレジデントKim Jaejune氏は、チップの需給ギャップは2027年にかけてさらに拡大し、供給不足は2028年まで続くと予測する。同社の声明でも、AIインフラの拡張とエージェンティックAI(自律的にタスクを実行するAIシステム)の普及を背景に、サーバー向けチップ需要が加速し、市場は供給不足の状態が続くと見ている。
「生産増強の努力を上回るペースで需要が伸びている」とKim氏は決算説明会で語った。
長期契約の面でも、世界トップ5のデータセンター企業とすでに長期チップ供給契約を締結しており、さらに5社と交渉中だという。具体的な社名は元記事では明かされていない。
製造拠点の拡張も進んでおり、テキサス州テイラーの第1半導体工場が今年中に稼働開始予定。第2工場は2030年に量産開始を目指して近く着工する計画だ。
SK Hynixも同日に記録更新、ただし株価は下落
Samsungの決算発表の前日には、ライバルのSK Hynixも過去最高の売上高・営業利益を報告しており、韓国の2大メモリメーカーが揃ってAIブームの恩恵を受けている。
しかし、両社の株価は今週に入り急落している。背景には2つの懸念がある。まず、製造能力拡大に向けた大規模投資計画が短期的な利益圧迫要因として意識されていること。次に、中国メーカーの追い上げが中長期的な競争環境を変えうるという不安だ。好決算にもかかわらず株価が下落したことについて、韓国のEugene Investment & SecuritiesのアナリストSon In-joon氏は「投資家の関心が短期的な利益から長期的な持続可能性へとシフトしている」と指摘する。巨額投資と地政学的競争圧力という2つのリスクが同時に意識されたことが、売りを誘った格好だ。
また、Samsung、SK、現代自動車のトップは先週、Lee Jae Myung大統領のサンフランシスコ訪問に同行し、OpenAI、Anthropic、NVIDIA、Broadcomなどの主要米国テクノロジー企業との協力計画(チップ技術・データセンター・AIインフラ分野)を発表している。政府・産業界が一体となって米国テック企業との関係強化を図る動きは、サプライチェーン上の地位を固める狙いがあるとみられる。
詳細はSamsung profit surges 1,814% as AI chip demand soarsを参照していただきたい。