7月30日、The Decoderが「PwC has allegedly published AI-generated reports containing false or fabricated sources」と題した記事を公開した。PwCミドルイーストが発行した複数のレポートに架空の出典や虚偽の主張が含まれていた疑惑が浮上している。しかもこれはPwCだけの問題ではなく、Big4会計事務所すべてが同様の調査対象となっている。
Big4でAIハルシネーション問題が連続発覚
AI検出ツールを手がけるGPTZeroが、PwCミドルイースト(中東)が2024〜2026年に発行した4本のレポートを調査した結果、架空の出典と虚偽の主張が複数発見された。
最も問題が深刻だったのは「Transforming Governance」と題されたレポートで、84%の確率でAI生成とGPTZeroは判定している。このレポートでは「Citizen Pulse」というPwC製品を宣伝しており、デンマーク・サウジアラビア・米国・オーストラリアの政府機関が同製品を活用していると主張しているが、その主張を裏付ける証拠は存在しない。
PwCミドルイーストは英紙Financial Timesの取材に対し、「正確性を重視しており、一部の引用情報を更新中だ」と回答した。しかし、なぜ誤りが混入したかについては説明しなかった。
「Vibe Citing」——GPTZeroが命名したハルシネーションの新形態
GPTZeroはこの現象に「Vibe Citing」という名称を与えている。これはGPTZero自身が今回の調査シリーズを通じて用いるようになった造語であり、業界で定着した既存用語とは異なる点に注意が必要だ。参考文献として引用されているものの、タイトル・URL・著者名が正確ではなく、引用先が実際には該当の主張を支持していないというパターンを指す。
また、AIスコアが高いレポートほど虚偽の出典が多いという相関も確認されており、AIの関与と出典の信頼性が連動している構図が浮かぶ。
同様の問題は学術界でも起きており、主要なAI学会で100件以上の架空引用が査読をすり抜けた事例も報告されている。
KPMGに続き、Deloitte・EYでも同様の問題
今回のPwCは、Big4会計事務所におけるAI生成コンテンツ問題の最新事例だ。GPTZeroはすでに以下の企業でも同様の調査結果を公表している。
- KPMG:AIの活用を顧客に売り込む目的のレポートで架空のAI事例を捏造していたことが判明。GPTZeroの調査では、架空のクライアント名や実在しないプロジェクト事例が複数含まれていたとされる
- Deloitte Australia:GPTZeroの引用チェック調査の対象となり、レポート内の引用に関する問題が検出された
- Ernst & Young:同様の調査が実施され、AI生成コンテンツの疑いがあるレポートが報告されている
Big4すべてが調査対象となったことで、特定企業の問題ではなく、業界横断的な構造的課題であることが浮き彫りになっている。DeloitteとEYについては元記事での詳細開示が限定的だが、GPTZeroの公開調査ページで追加情報を確認できる。
AIの問題か、それとも組織の問題か
記事は「これが本当にAIの問題かどうかは、別の問いだ」と指摘している。AI生成コンテンツの品質チェックを怠った組織側の責任という側面も無視できない。コンサルティングファームのレポートは、顧客の意思決定や政策形成に直接影響するケースも多く、出典の信頼性は業務の根幹に関わる問題だ。
「AIを使ったこと」よりも「検証プロセスが機能していなかったこと」の方が、本質的な問題として重い。大手ファームのブランドと権威を前提に内容を信頼する読者が多い以上、ハルシネーションが検証なく公開されるリスクは、一般的なウェブコンテンツ以上に深刻だ。
詳細はPwC has allegedly published AI-generated reports containing false or fabricated sourcesを参照していただきたい。