7月28日、StorageReviewが「Korea AI Summit: SK and NVIDIA Float a $500B Partnership as NAVER Triples Its AI Factory」と題した記事を公開した。SKグループとNVIDIAが5,000億ドル超の協業構想を打ち出し、NAVERがAIファクトリーの容量を3倍超に引き上げるなど、7月24日にサンフランシスコで開催された韓国AIサミットは東アジアのAIインフラ整備をめぐる大型案件が相次いで発表される場となった。
韓国の李在明大統領の米国訪問に合わせて開催されたこのサミットには、NVIDIA、OpenAI、Broadcom、Anthropic、Samsung、SKグループ、現代自動車グループ、NAVERのトップが集結した。発表内容はAIファクトリーの容量拡張、HBM(高帯域幅メモリ)供給、半導体製造、エージェントAI研究、ロボティクスインフラと多岐にわたる。
SKグループとNVIDIA:5,000億ドルのLOI
最大の話題は、SKグループとNVIDIAが締結した複数の基本合意書(LOI)だ。AI工場の建設や次世代メモリの供給を含むこの潜在的パートナーシップの総額は5,000億ドル超とされているが、具体的なスケジュールや確約済みの投資額は明かされていない。
まず動き出すのは、SKテレコムとの2GW規模のAIクラウドプロジェクトだ。NVIDIAのVera Rubinアクセラレーティッドコンピューティングと、SK hynixのHBM4メモリを組み合わせ、NVIDIAのDSX AIファクトリー設計を採用する。最初のAIファクトリーは2027年稼働予定。
DSX(Data Center Experience)はNVIDIAが提唱するAIファクトリーの統合設計フレームワークで、ハードウェア・ソフトウェア・施設設計・パートナー技術を一体化したシステムだ。SKグループとNVIDIAはこの枠組みを韓国およびアジア太平洋地域のAI需要に充てる方針を示している。
SK hynixは別途、NVIDIAとの長期的なAIメモリ開発パートナーシップを開始する。大規模言語モデル(LLM)の学習、AIの推論実行、エージェントAIおよびフィジカルAI用途向けの新型高帯域幅メモリを共同開発・供給する計画だ。
NAVERのAIファクトリー:55MWから200MWへ
NAVERは、NVIDIA・Brookfieldとともに、忠清南道世宗市のGAK世宗データセンターにおけるDSX AIファクトリーの拡張計画を発表した。6月時点では55MWとされていた計画容量が、2028年までに200MWへと大幅に引き上げられた。約10万基のGPUを擁する規模になる見通しだ。
資金面では約100億ドル規模のプロジェクトとして構造化されており、Brookfieldが最大90億ドルを独占的な資本パートナーとして負担する覚書を締結。NVIDIAが10億ドルを投じ、NAVERが残額を負担する(いずれも条件付き)。NAVERはさらに最大1GW分のNVIDIA AIインフラの導入も計画している。
このインフラを使い、NAVERは独自の大規模言語モデル「HyperCLOVA X」の拡張も進める。NVIDIA Nemotron 3 Ultraオープンモデルを組み合わせ、年内には韓国向けのAIエージェントプラットフォームの提供開始を目指す。また、自社保有のストリートビューデータと空間データ、およびNVIDIA Cosmosの世界基盤モデルを用いた「Seoul World Model」の構築も並行して進めている。フィジカルAIと空間推論の応用に焦点を当てたプロジェクトだ。
SamsungとBroadcom:2030年に向け2,000億ドル規模の協業
SamsungとBroadcomは、メモリ供給・ファウンドリ製造・先端パッケージングにわたる協業協定を締結した。2030年までに2,000億ドル超の価値創出を見込んでいる。
SamsungはBroadcomのAIアクセラレータ製品向けにHBMを提供するほか、2nmプロセス以降の微細化技術をBroadcom製品(無線ブロードバンドチップなど)に適用する。さらに、AI・ネットワークチップ向けに2.5Dおよび3D先端パッケージング手法の共同探索も合意している。
現代自動車:フィジカルAIを軸とした大規模投資
現代自動車グループはスマートモビリティ、ロボット、AI管理工場、コネクテッドシティを包括するフィジカルAI戦略を示した。
具体的なプロジェクトとして、NVIDIA・現代が共同で開発する「ロボット参照プラットフォーム」がある。大学・研究機関・スタートアップ向けに標準的なハードウェア・ソフトウェア基盤を提供し、ロボティクス開発の裾野を広げる狙いだ。
インフラ投資面では、全北道の새만금(セマングム)AIバレー開発にAIデータセンター、ロボティクス製造、水素インフラを統合し約9兆ウォン(約6,100億円)を投資する。また、嶺南地域の産業ハブには今後10年間で42兆ウォン(約2兆8,500億円)を投じ、AI製造・航空宇宙・グリーンエネルギー基盤を整備する計画だ。
NVIDIAとKAIST:アジア初の大学連携AI研究所
NVIDIAと韓国科学技術院(KAIST)は、ソウルのKAIST金在哲AIスクールに共同AIラボを設立すると発表した。NVIDIAがアジアの大学と設けるAI研究ラボとしては初の事例とされる。
パートナーシップの規模は3億ドルで、初期5年間は年最大5,000万ドル相当のコンピューティングリソースを提供する。エージェントAI研究と韓国語モデルの開発が主なテーマで、8月にKAIST教員として着任するNVIDIA研究者のHyunwoo Kim氏が主導する。毎年少なくとも10名のKAIST研究者を資金援助・NVIDIAインターンシップで支援し、韓国人研究者の正社員採用も計画している。
5,000億ドルという数字はLOI(法的拘束力のない基本合意書)であり、確約された投資額ではない点には留意が必要だ。ただ、NAVERの200MW・100億ドル規模のプロジェクトや現代自動車の合計51兆ウォン超の国内投資計画など、韓国のAIインフラへの資金流入の規模感は相当なものになっている。
詳細はKorea AI Summit: SK and NVIDIA Float a $500B Partnership as NAVER Triples Its AI Factoryを参照していただきたい。