7月27日、PYMNTSが「DeepSeek Reportedly Suspends Funding Round Ahead of IPO」と題した記事を公開した。評価額10兆円規模にまで成長した中国AIユニコーンが、IPO目前のタイミングで資金調達を突如停止した——その引き金が創業者の発言内容の外部流出という内部要因だったという構図は、単なるIRイベントの延期にとどまらない示唆を持つ。
資金調達を突如停止
Bloomberg Newsが7月25日(土)に報じたところによると、DeepSeekは第2回の資金調達ラウンドを一時停止した。事情を知る複数の関係者によれば、DeepSeekは一部の投資候補者に対し、予定していた投資契約の締結を見送ると伝えたという。
停止の背景にあるのは、創業者・梁文鋒(Liang Wenfeng)氏のオンライン上での発言流出への苛立ちとされる。第1回資金調達の際、投資家向けミーティングでの発言内容とされるトランスクリプトがオンライン上に拡散した。その内容は、AI開発におけるNvidiaチップへの依存や、AI技術の洗練度における中国の米国に対する遅れに言及するものだったとされているが、Bloombergはその真偽を確認できていないと明記している。
規模感:第2ラウンドで約2,000億円超を狙っていた
停止前の計画では、第2ラウンドで少なくとも100億元(約2,000億円/約14億ドル)の調達を目指しており、プレマネー評価額は4,800億元(約10兆円/708億ドル)以上を想定していた。第1ラウンドの評価額が500億ドルだったため、短期間での大幅な評価額の引き上げを狙っていたことになる。
第1ラウンドでは70億ドル(約1兆円)を調達済みであり、今回の停止はその直後という時系列だ。
DeepSeekとは何者か
DeepSeekが世界的に注目されたのは2025年初頭のこと。同社が公開したDeepSeek-R1は、OpenAIやMetaの主力モデルと同等とされる性能を持ちながら、大幅に少ないNvidiaチップで動作させたとして、米国テクノロジー株に大きな売り圧力をもたらした。その衝撃は「DeepSeekショック」とも呼ばれ、NvidiaをはじめAIインフラ関連銘柄が軒並み急落する事態を招いた。少ないリソースで高性能なモデルを実現したというその主張は、AI業界のコスト構造やNvidia依存への前提を揺さぶるものとして市場に大きな衝撃を与えた。
同社はIPOも視野に入れており、早ければ今年中に上場する可能性があるとBloombergは伝えている。
今回の停止が示すもの
資金調達の一時停止とIPO準備が並行している状況は、外部からは判断が難しい。ただ、創業者の発言内容が流出したことへの反応として資金調達プロセスを止めるという判断は、情報管理や投資家との関係において、DeepSeekがまだ上場企業としての体制を整え切れていない段階にある可能性を示唆している。
評価額10兆円規模の企業が、内部発言の流出というある意味で古典的な情報管理の問題によって資金調達を止めたという事実は、技術力と組織成熟度の乖離という観点で興味深い。中国AI企業がこれほどの評価額でIPOを目指すこと自体、米中のAI競争という文脈でも引き続き注目される動きだ。
詳細はDeepSeek Reportedly Suspends Funding Round Ahead of IPOを参照していただきたい。