7月28日、Matthias Bastianが「OpenAI says more workers are using ChatGPT to do other people's jobs」と題した記事を公開した。この記事では、職場でのChatGPT利用分析によって、本来は他職種の専門家が担うタスクをAIを使ってこなす「タスク越境」現象が広がっていることについて詳しく紹介されている。以下に、その内容を紹介する。
43.5%のタスクが「越境」——OpenAIが分析した職場でのChatGPT利用実態
OpenAIが業務関連のChatGPTメッセージ80万件超を分析したところ、職種固有のクエリのうち43.5%が、本来は別の職種に属するタスクだったことが判明した。OpenAIはこの現象を「タスク越境(task crossover)」と呼んでいる。
越境が最も多く見られたのはマーケティングとエンジニアリングのタスクだ。具体的には、契約書のレビュー、データ分析、Webサイトのトラブルシューティングといった作業が、本来の担当外の従業員によってChatGPTを通じて処理されるケースが目立った。
小規模企業ほど顕著、専門家不在の穴をAIが埋める
この傾向は小規模企業でより強く現れている。専任の専門家チームを持たない中小企業では、非専門家がAIを使ってマーケティング業務などをこなす割合が特に高い。
OpenAIは、この利用データを「職務プロファイルが変化しつつある初期シグナル」と位置づけている。役職名や職務記述書(Job Description)が追いつく前に、実際の業務内容はすでに変わり始めているという見立てだ。
分析手法:O*NETで職種を分類、汎用タスクは除外
分析にはアメリカの職業データベース**O*NET**(Occupational Information Network)が使われた。O*NETは米国労働省が管理する職業分類システムで、各職種に紐づく業務活動を標準的なプロファイルとして整理したものだ。
OpenAIはこのO*NETを用いてChatGPTへのクエリを職種別に分類し、「文章作成」「要約」「スケジューリング」といった職種横断的な汎用タスクは集計から除外している。つまり、今回の43.5%という数字は、より職種固有性の高いタスクに絞った上での数字だ。
何を意味するか
「タスク越境」という現象自体は、AIツールが普及すれば自然に起きることではある。ただ、80万件超の実データに基づいてその規模を定量化した点に意味がある。職種の境界がどう変化するかは採用・組織設計に直結する問題であり、OpenAIがこのデータを「早期シグナル」として公開したのは、雇用への影響という文脈で議論を先取りしようとする意図も感じられる。
詳細はOpenAI says more workers are using ChatGPT to do other people's jobsを参照していただきたい。