7月25日、Olivia Tauberが「Google reports negative free cash flow amid AI spending spree」と題した記事を公開した。この記事では、AlphabetがAI投資の急拡大により四半期のフリーキャッシュフローが初めてマイナスに転落したことについて詳しく紹介されている。
1200億ドルの売上でも設備投資を賄えなかった
Alphabetが2026年7月22日に発表した2026年第2四半期決算で、フリーキャッシュフローがマイナス59億ドルを記録した。同社が上場して以来、この数値がマイナスになるのは初めてのことだ。
数字を分解すると構造が見えてくる。Googleは同四半期に391億ドルの営業キャッシュフローを生み出した。一方、AI関連のサーバー、データセンター、ネットワーク機器などのインフラ整備に449億ドルを投じた。差し引き59億ドルが赤字となった形だ。
売上高は1198億ドル(前年同期比24%増)、営業利益は408億ドルを記録している。なお、純利益は1121億ドルと過去最高を示す数値が報じられているが、この数値の解釈には注意が必要だ。通常の事業活動から生じる純利益とは異なり、この数値にはAlphabetの株式投資ポートフォリオからの含み益(約980億ドル)が含まれている。含み益は会計上は利益として計上されるが、実際に現金として手元に入ってくるわけではなく、売上高1198億ドルとほぼ同水準の純利益という見かけ上の利益率は、本業の収益構造を直接反映したものではない点に留意が必要だ。本業の収益力を示す実態としては、営業利益408億ドルを参照するのが適切である。
フリーキャッシュフロー(FCF)とは、営業活動で得た現金から設備投資を差し引いた「企業が自由に使える現金」を指す。FCFが潤沢であることはGoogleの強みとされてきたが、その大前提が今四半期に初めて崩れた。なお、FCFがマイナスになることは、企業の支払能力や財務健全性を直接意味するものではなく、Alphabetは依然として潤沢な手元資金と営業キャッシュフロー創出力を持つ。問題は「投資規模が一時的に現金創出を上回った」という構造的な点にある。
支出は加速する一方
Alphabetは2026年の設備投資見通しを、従来の1800〜1900億ドルから1950〜2050億ドルに上方修正した。これは2025年の約910億ドルの2倍以上にあたる。
さらにCFO(最高財務責任者)のAnat Ashkenazi氏は投資家向け説明会で、2027年の設備投資も「大幅に」増加する見込みだと述べた。
「フリーキャッシュフローは技術インフラへの投資によって引き続き圧迫される見通しだ。この投資によってAIの機会を捉え、魅力的なリターンを生み出し続けることができる」(Ashkenazi CFO)
投資先の内訳について、同氏は技術インフラ支出の約60%がサーバー向け、残りの40%がデータセンターおよびネットワーク機器向けだと説明した。
AI投資が実を結びつつある領域も
巨額の出費が無駄になっているわけでもない。Googleクラウドの売上高は248億ドルに達し、前年同期比で82%増と高い伸びを示した。営業利益は88億ドルと3倍以上に膨らんだ。この82%増という成長率は数値として非常に高く、元記事に明記された数値を引用しているが、読者は同事業の直近複数四半期の推移とあわせて確認することを推奨する。AIインフラへの投資が外部顧客向けクラウドサービスの成長を下支えしている構図は明確だ。
その他の主要事業も堅調に推移している。
- 検索広告: 633億ドル
- YouTube広告: 111億ドル
- サブスクリプション・プラットフォーム・デバイス: 129億ドル
Google OneなどAIサブスクリプションの需要拡大も収益に貢献したとされる。
Googleだけではない業界全体の構造
AI投資の過熱はGoogleに限った話ではない。Google、Amazon、Microsoft、Metaの4社合計で、2026年に7000億ドル超をAI関連インフラに投じる見通しとされている(主にデータセンター、半導体チップ、電力)。各社がそれぞれ巨額の設備投資を進めており、業界全体でFCFへの圧力が高まっている局面にある。
市場はこの状況を楽観的に受け止めてはいない。Alphabetの決算発表翌日の7月23日(木)、株価は約7%下落した。増大する支出計画とFCFへの圧力継続という警告が投資家心理を冷やした格好だ。
Alphabetには依然として潤沢な財務的余力があり、企業としての支払能力に問題があるわけではない。ただし、CFOが2027年にも投資が「大幅増」になると予告している以上、FCFがマイナスとなるのは今四半期限りではないかもしれない。本業の収益力は堅調を維持しながらも、投資の規模が現金創出を恒常的に上回る状態が続くかどうかが、今後の注目点となる。
詳細はGoogle reports negative free cash flow amid AI spending spreeを参照していただきたい。