7月22日、Techstrong.aiが「OpenAI, Anthropic Surge to Record Lobbying Spending Ahead of Midterms」と題した記事を公開した。AIを巡る規制の枠組みがまだ流動的な今、OpenAIとAnthropicが「ルールが書かれる現場」に直接乗り込んでいる——そんな構図を浮かび上がらせるデータが明らかになった。
2社合計で約4.6億円超——急拡大するAIロビー費用
連邦ロビー活動開示法(Lobbying Disclosure Act)に基づく報告書によると、OpenAIとAnthropicは2026年4〜6月の間に合計317万ドル(約4.6億円)を連邦ロビー活動に投じた。これは前四半期比23%増であり、2025年の同期と比べると両社ともほぼ倍増している。
内訳を見ると、Anthropicが197万ドル(前四半期比26%増)、OpenAIが120万ドル(同18%増)。とりわけAnthropicの伸びは顕著で、2026年上半期だけで350万ドル超を費やし、すでに2025年の年間予算(310万ドル)を上回った。
比較として、半導体大手NVIDIAの同四半期ロビー費は125万ドル、ソフトウェア大手Oracleは200万ドル。Anthropicの支出はNVIDIAを超え、Oracleに迫る水準まで達している。設立数年のAIスタートアップが、K Street——ワシントンDCのロビイスト事務所が軒を連ねる通りの名称であり、ワシントンの政治ロビー活動全般を指す慣用表現——において急速に存在感を高めていることが、数字からも読み取れる。
何を議会に働きかけているのか
Lobbying Disclosure Act報告書によると、両社が注力した政策領域は以下の通りだ。
- サイバーセキュリティ
- 著作権法
- クラウドコンピューティングインフラ
- 防衛調達
この動きの背景には、2026年秋の中間選挙と、両社が控えるIPO(新規株式公開)がある。規制の枠組みが固まる前に、有利な条件を確保したいという意図が透ける。
現状のAI規制論議は混沌としている。ホワイトハウスは「AIモデルの公開前30日間の任意レビュー」を求める大統領令を出しており、議会でもAI規制の立法化に向けた動きが続いている。こうした状況下で、OpenAIのサム・アルトマンCEOはホワイトハウス当局者や主要議員へのブリーフィングを予定しているという。
Big Techは横ばい、防衛産業は縮小
一方、既存のテクノロジー大手は「守り」の姿勢を見せている。Meta、Amazon、Google、Microsoft、NVIDIAの5社合計は2,125万ドルで、前四半期とほぼ横ばい。セクター最大の支出者はMetaで599万ドル(前期比15%減)、Amazonが436万ドルで続く。GoogleとMicrosoftは貿易・中国・税制・輸出規制を主な対象として支出をやや増やしている。
対照的に、防衛産業は縮小傾向にある。主要防衛請負業者8社の合計は1,968万ドルで、前四半期比3.3%減。L3Harrisは約45%の大幅削減を記録した一方、Boeingのみが13%増の277万ドルと支出を拡大させた。
規制が固まる前に——AIの政治戦略の本質
ロビー費用の急増は、単なる「業界拡大」の副産物ではない。AIモデルの安全ガイドラインから政府調達基準まで、今まさに決まろうとしているルールが、今後数年の事業環境を左右する。特にIPOを控えた企業にとって、規制リスクは直接的なバリュエーションの問題でもある。
テック企業全体としても、今回の中間選挙に向けて少なくとも2億6,500万ドルを政治スーパーPAC(候補者と独立して無制限の政治資金を集め独自に支出できる独立支出委員会)に拠出することを表明済みだ。AI企業のロビー活動急増は、この大きな流れの一部として読む必要がある。
詳細はOpenAI, Anthropic Surge to Record Lobbying Spending Ahead of Midtermsを参照していただきたい。