7月22日、The Next Webが「Nvidia says Vera Rubin is in full production, with OpenAI set to deploy at scale in Q3」と題した記事を公開した。NvidiaのVera Rubinプラットフォームが量産フェーズに入り、OpenAIが2025年第3四半期に大規模展開を予定しているというのがその骨子だ。最大の読みどころは、Nvidiaが自社製Vera CPUによってAMDのEPYC第5世代(Turin)に対しPythonワークロードでほぼ2倍の速度を記録したと主張している点だが、この数字はNvidiaおよびその顧客が自ら提示したものであり、第三者機関による独立検証はまだ行われていない。
Vera Rubinが量産フェーズへ——OpenAIはQ3に大規模展開
Nvidiaは月曜日、Vera Rubinプラットフォームが量産体制に入ったと発表した。同社の上席副社長(アクセラレーテッドコンピューティング担当)であるIan Buck氏が、Nvidia本社での記者ブリーフィングにて、OpenAI・CoreWeave・Google Cloud・Microsoft Azure・Meta・Dellへの出荷が始まっていることを明らかにした。Bloombergの報道によれば、OpenAIはQ3中にVera Rubinを大規模導入する計画だという。
最初にハードウェアを受け取ったクラウドプロバイダーの一つであるCoreWeaveは、「NVL72ラックが前世代比でトークン出力を10倍達成した」とBloombergに語った。NVL72はフルラックシステムで、72基のRubin GPUとVera CPUを液冷で統合した構成が特徴だ。これにより内部のケーブル配線を排除し、従来は密度を制限していた銅配線の接続を不要にした。
Nvidiaが自社製CPUでAMDに宣戦布告
Vera Rubinで特に注目すべきアーキテクチャ上の変化は、Vera CPUの存在だ。NvidiaはこれまでCPUをAMDやArmなど外部から調達していたが、Veraはそれを自社製品に置き換えるために開発されたプロセッサである(背景についてはこちらの記事も参照)。
同社は今回のブリーフィングで、AMDとの直接比較を行った。Nvidiaの主張によれば、Vera CPUはAMDのTurin(EPYC第5世代)に対し、Pythonワークロードでほぼ2倍の速度を記録したという。このベンチマークにPythonが選ばれた理由は明快で、AIインフェレンスを動かすソフトウェアスタックの大部分がPythonで書かれているためだ。Vera CPUの早期受領先には、Anthropic・OpenAI・Perplexity・SpaceX・Oracleが含まれる。
「量産」の実態——数字はNvidiaが自ら出したもの
ただし、記事は一点を明記している。CoreWeaveによる10倍トークン増のデータも、AMDとのPythonベンチマークも、いずれもNvidiaおよびその顧客が自ら提示した数字であり、第三者機関による独立検証ではない。全顧客へのボリューム出荷と性能主張の独立検証は、まだこれからの段階だ。
「量産フェーズ入り」という言葉自体は、今年6月初旬のComputexでJensen Huang氏がすでに宣言していた(当時の記事)。今回のブリーフィングはその続きにあたり、具体的な性能数値と顧客のコメントを追加することで、主張に肉付けしたかたちだ。
※AI業界では、ベンチマーク結果をチップベンダーやその顧客が自己申告するケースが常態化しており、測定条件の選択次第で数字が大きく変わりうる点が繰り返し指摘されている。NvidiaのCUDAエコシステムという自社に有利な環境でPythonを測定している点も、結果の解釈には留意が必要だ。
株価との乖離が示すもの
Nvidiaの今期売上高はアナリスト予想で前年比82%増、約3,930億ドルに達する見通しだ。にもかかわらず、同社株は今年9%の上昇にとどまり、より広いチップ指数の66%上昇や、Intel・ARM・AMDがそれぞれ2倍超の上昇を見せているのと対照的な動きを示している。Blackwellサイクル時に見られたような株価の勢いが、Vera Rubinでは再現されていない状況だ。
こうした株価の動向を踏まえると、今回のブリーフィングが単なる出荷報告にとどまらず、AMD比2倍という具体的な性能数値を前面に打ち出した背景には、投資家・市場向けのメッセージという側面もあるとみられる。Vera CPUの独立検証がいつ行われるかが、次の注目点となりそうだ。
詳細はNvidia says Vera Rubin is in full production, with OpenAI set to deploy at scale in Q3を参照していただきたい。